HER2陽性乳がん患者の治療薬T-DM1が、治療実験で画期的な結果を残す
2012.06.22
編集部
米・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次集会で、HER2陽性乳がん患者を治療するための治療薬trastuzumab emtansine(以下T-DM1と表記)を使用することで、標準療法よりも生存期間が改善されるとの研究報告が発表された。
T-DM1とは分子標的薬のトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)と細胞毒性薬のemtansine (DM1)から成る複合体。現在、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得る最終段階(第3相試験)にある治療薬だ。治療は1000人近くの患者に対して行われた。
米デューク癌研究所(ノースカロライナ州)内科教授/放射線腫瘍学助教授のKimberly Blackwell氏らは、T-DM1、またはXLと呼ばれるカペシタビン(商品名:ゼローダ)とラパチニブ(同タイケルブ)の併用レジメンのいずれかを使用して被験者に治療を行った。
2年後、T-DM1の治療患者は65.4%、XLの治療患者は47.5%の生存が確認された。副作用に関してはT-DM1治療の患者は、血小板数減少などがあったが、総じて忍容性は良好。XL治療の患者は、下痢、胸のむかつき、手掌、足の裏の腫脹が見られるなどの副作用の発現率が高かった。
Blackwell教授は「T-DM1はHER2過剰発現の転移乳がんに対して有効な承認薬よりも優位である。用量制限を要する毒性も見られない画期的な治療薬だ」と語っている。(この学会で発表された治療データと結果は、医学誌に掲載されるまでは予備的なものである)
(記事詳細)
http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=665308