禿げ、薄毛の現代事情(下) ~新たな潮流、毛髪再生技術の研究開発が加速

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2014.10.24

編集部

禿げや薄毛に悩む多くの人を精神面から開放し、生活の改善向上に繋げる毛髪再生医療の技術開発に一段と期待が高まってきた。毛髪再生医療分野には、株式会社資生堂(東京都中央区)や株式会社アデランス(東京都新宿区)、株式会社リーブ21(大阪府大阪市中央区)などが参入しているが、再生医療ベンチャー:株式会社フェニックスバイオ(広島県東広島市)の毛髪再生技術と事業化に大きな関心が集まっている。すでに同社の上場をにらんでベンチャーキャピタル(VC)が相次いで投資、10億円を超える資金を集めた。

同社は、2002年3月に独立行政法人科学技術振興機構が広島大学の研究グループに毛髪再生技術の研究を委託して研究開発を実施。その研究開発の成果を事業化する目的で設立した。
現在、毛髪再生技術の基本特許は、財団法人ひろしま産業振興機構と独立行政法人科学技術振興機構が保有。同社は、優先実施権(独占的通常実施権、契約時より10年間)を得て毛髪再生技術の開発と事業化に取り組んでいるもの。

技術移転以降、同社は、毛髪再生技術の研究開発として器官再誘導能を有する毛包をモデルに四次元細胞動態解析システムにより、1.その細胞動態から毛包誘導能を有する幹細胞とその支持細胞(ニッチ)を特定2.幹細胞と支持細胞の特定による機能解析3.毛包支持細胞の維持に重要な分子の探索とその機能解析などの研究開発に取り組んできた。
マウス一連の研究開発を通じてヒト毛乳頭細胞をシャ―レ(ガラス製の平皿)の中で培養・増殖しマウスの皮下に移植すると毛髪が再生することを動物実験(写真)で明らかにした。

毛髪再生技術と並んで同社のコア技術の一つであるヒト肝細胞を持つマウスを生産する技術「キメラマウス」の事業化が進展。すでに、キメラマウスを利用した薬物動態などの試験を受託する事業が立ち上がっている。

同社では「毛髪再生療法用の毛乳頭細胞等の培養、保存、販売、毛髪再生療法のためのシステムの医療機関への提供など毛髪再生事業を早期に商業ベースに乗せていきたい」としており、早期の実用化に期待が膨らむ。

多額の研究開発費を捻出するため同社は、これまで株式会社広島ベンチャーキャピタル(広島県広島市)や日本ベンチャーキャピタル株式会社(東京都港区)をはじめ、積水メディカル株式会社(東京都中央区)、中外テクノス株式会社(広島県広島市中区)などから10億円を超える投資・出資を受けた。同社が今後、上場する可能性が高いと見込んで投資・出資したもの。いずれも現在、同社の主要株主として名を連ねている。

大学での研究開発が盛んだ。慶應大学医学部の研究グループは、ヒトのiPS 細胞を利用した毛包再生の技術開発に取り組んでいる。
ヒトのiPS 細胞から皮膚の前駆細胞(幹細胞から特定の体細胞や生殖細胞に分化する途中の段階にある細胞)を作成し、毛を誘導する能力をもつマウスや免疫不全マウスに移植することで、毛包構造の再現に成功した。ヒトの毛包を自由に再生できれば脱毛症の治療薬開発を大きく進める可能性がある。

今後、毛髪の再生技術は、禿げ、薄げ解消の大きな潮流としてさらに術開発が加速するのは必死だ。

表に各毛髪分野での主な参入企業と主要製品、成分・概要などを示す。
表

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