乳がんワクチンの効果、小規模臨床試験で確認
2014.12.3
国際部
生涯に乳がんを患う日本人女性は、14人に1人と言われている。死亡率も増加傾向にあり、ワクチンの開発が急ピッチで進められているがんのひとつだ。
ワクチン開発に取り組んでいた研究グループのひとつ、米ワシントン大学医学部から11月25日、乳がんワクチンの有望な試験結果が発表された。研究の詳細は12月1日の「Clinical Cancer Research」に掲載された。
研究されているワクチンは、ママグロビンA(mammaglobin-A)と呼ばれる抗原に対する免疫反応を起こすもの。ママグロビンAは乳がん患者の約8割で過剰に発現していることが確認されている。このワクチンは2004年に、マウスによる試験で効果が実証されていた。
今回の臨床試験は転移性乳がんの女性患者14人を対象に行われた。第1相試験では主に安全性を評価したが、報告された副作用は8件で発疹やインフルエンザ様の症状など軽度から中度のもの。生命を脅かすような重篤なものはなかった。
ワクチン投与1年後、患者の半数で癌の進行がとまっていた。比較対照とした、ワクチン投与をしなかった12人の患者では、がん進行がとまっていたのは患者の5分の1だった。研究者らは、試験参加者の人数が少ないものの、安全にがんの進行がとまっていることは大きな成果とし、さらに大規模試験を実施する予定。