キューピー、ヒアルロン酸を鶏冠抽出、微生物発酵で高精度に生産

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2015.03.2

編集部

キューピーは、代表的な化粧品原料の1つヒアルロン酸の生産を鶏の鶏冠(とさか)から抽出する鶏冠抽出法と微生物発酵法の2つの製造法を使って高度に精製するヒアルロン酸の高度精製・工業化製造技術を確立した。

鶏冠抽出法は、生体組織からヒアルロン酸を抽出する方法で、ヒアルロン酸の含量が約1%含まれている鶏冠を主原料として利用する。鶏冠中に含まれるヒアルロン酸は、平均分子量が約1,000万程度。1984年に鶏冠抽出法を実用化しヒアルロン酸を製造・販売した。

鶏冠抽出法によるヒアルロン酸の抽出、精製工程(フローチャート)では、徐々に低分子化すると平均分子量約500万程度の精製ヒアルロン酸を得ることができる。

もう1つの微生物発酵法(フローチャート)は、ヒアルロン酸産生菌を用い、これらの菌株から得られたヒアルロン酸は、生体組織のヒアルロン酸と構造、基本的性質が同じで大量生産が可能。2004年に実用化してヒアルロン酸の製造・販売を始めた。鶏冠抽出法と微生物発酵法によるヒアルロン酸製造工程(概要)をフローチャートに示す。

キューピー「ヒアルロン酸ナトリウム」

同社では、2つの製造法を使って化粧品原料「ヒアルロン酸粉末シリーズ」と「ヒアルロン酸液シリーズ」を開発し、市場に投入している。

粉末シリーズは、鶏冠抽出法で抽出・精製したヒアルロン酸ナトリウム(写真右)。「ヒアルロン酸液シリーズ」は、発酵法によるヒアルロン酸ナトリウムの水溶液(精製水に溶解した液タイプ)。いずれも精製度は、95%以上と高度に精製されており保水性、保湿性に優れる。

キューピー「卵黄レシチン」同社のこうしたヒアルロン酸や卵黄レシチン(写真左)、ペプチドなどの化粧品原料をファインケミカルのカテゴリー商品に位置付けて1982年から商品開発、工業化製造技術の研究開発などに取り組んできた。現在は、研究開発本部ファインケミカル開発部が中心となって取り組んでいる。2014年12月には、化粧原料のヒアルロン酸を使ったスキンケア商品「キユートピア」シリーズを通信販売限定で販売、化粧品メーカーとしての本格的助走を始めている。

ヒアルロン酸は、水分保持の機能作用を有しているため化粧分野では、肌の保湿効果を目的に化粧水、乳液、ファンデーションなどに幅広く利用されている。また、美肌を訴求したサプリメントや関節軟骨の保湿成分として医薬品分野での利用も盛んになっている。

ここへきてヒアルロン酸の機能は、修飾性や低分子化が進むなどさらに高機能化する方向にあり、同社の高機能化ヒアルロン酸の実用化に期待が高まる。

同社のファインケミカル事業の前期(2014年11月期)売上高は、化粧品ヒアルロン酸の好調を支えに107億円を達成。今期は、135億円の売り上げを見込んでいる。

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