中国・大衆化粧品市場で過当競争、日米欧の化粧品企業が撤退
2015.08.7
編集部
レブロンやガルニエ、ドクターシーラボなど欧米や日本の大手化粧品メーカーが相次いで中国市場から撤退している。中国経済の減速傾向と大衆化粧品市場の過当競争が主たる要因。今後、市場争いでさらに中国市場から撤退する企業が相次ぐのは必至の情勢。
現在、300億ドル(ジェトロ調査)に達した中国化粧品市場は、1990年代から成長し始め、海外の輸入高級化粧品中心のプレステージ、欧米日の高級化粧品中心のプレステージ、中国企業の中級大衆化中心のミドルマス、中国、韓国企業中心のローエンドの4市場で形成されている。
こうした中で、海外の輸入高級化粧品中心のプレステージを中心に欧米や日本の化粧品企業が中国戦略をこれまでの生産拠点から市場販売へと戦略を転換したことから一挙に過当競争に突入した。この結果、プレステージ分野で撤退の先陣をきったのが米化粧品大手レブロン。
同社は、口紅などメーク分野で販売が強かった半面、人気の美白やスキンケア商品で出遅れたことが響いて2014年1月に中国から撤退した。
商品ブランドを前面に押し出して販売戦略を講じる仏ロレアルは、2014年1月に大衆ブランドのガルニエを中国市場から撤退した。ロレアルの中国での大衆ブランド「ガルニエ」展開は、2006年。ガルニエの大衆化粧品分野は業績が悪くなかったものの好不況の波が激しく中国企業との競合も足かせとなって撤退した。今後、ガルニア以外のパリロレアル、メイベリンなど20ブランドを数える大衆化粧品ブランドの戦略見直し、重点化を図る方針。
ロート製薬は、中国法人「エピステーム商貿」(上海)を設立し2010年から、北京市と上海市で百貨店向けの高級化粧品「エビステ―ム」の販売を開始した。しかし、欧米の化粧品ブランドとの競争が激化し、収益悪化から2014年3月末に営業を停止、12月に会社清算を行った。
2012年に中国進出を実現したドクターシーラボは、上海高島屋百貨店にカウンターを設置して事業展開。2013年には、天猫に旗艦店舗を開設して事業拡大を図ったが、販売低迷で中国市場から撤退(2014年3月)した。表に中国市場から撤退した化粧品企業を示す。
こうした欧米や日本企業の中国市場からの撤退は、先進国市場と異なる新興国の市場ニーズに対応した製品開発や販売活動に十分な資源を投入し、市場条件に適応したビジネスモデルを構築することができなかった点に起因する。
今後、中国経済は、住宅、自動車など耐久消費材のバブル崩壊や国内成長の鈍化などから化粧品4市場も相対的に伸び悩みの傾向を辿ると見込まれ、中国撤退の化粧品メーカーが散見される展開となろう。同時に、海外進出の動きとして中国以外の新興国に白羽の矢を当てた展開がより顕著になりそうだ。