“頬の動きの変化”が老けた印象を与える ポーラ化成研究
2016.08.8
編集部
ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業株式会社(神奈川県横浜市)は、実年齢が高くなるに従い、(1)頬部において、表情の変化に伴って生じる白トビ領域(図1)面積のばらつきが大きくなることにより、若い肌にはない視覚的な「肌ノイズ」が生じること(2)表情の変化に伴う頬部の皮膚の動きのタイミングが遅れ、「潜在的な老け印象」を与えることを見出した。
私達は実生活において表情に接し、相手の見た目の年齢に関する印象を得ているのだという。
一方、顔の見た目の年齢を調べた従来の研究では真顔を対象としており、必ずしも実生活で示される表情を反映しているとは言えなかった。
そのためポーラ化成工業は、実生活を反映した条件で調査することにより、何がヒトの見た目の年齢を決めるのか、原因を探る検討を行い、(1)表情をつくる際に皮膚が動くことで、40代を境に老けた印象を与えてしまうこと、(2)見た目の年齢を判断する際には、”頬”に視線が向けられることを報告した(2015年11月24日技術リリース)。
今回、表情の変化に伴う頬の動きと、見た目の年齢の関係を結ぶ要因を導き出すことを目的に研究を進めた。
実験では表情の変化に伴い、頬の皮膚が動く際の特徴を画像解析およびモーションキャプチャを用いて解析。その結果、実年齢が高くなるとともに、(1)表情の変化に伴って生じる白トビ領域面積のばらつきが大きくなること(図2)(2)表情の変化に伴う頬部の動きのタイミングに遅れが生じていること(図3)を見出した。
一般的に表情をつくることで、「皮膚がキビキビと動き、若々しい」という印象を与える、と考えられているが、今回の結果から、加齢とともに、(1)頬部の白トビ領域が増加し、それが表情の変化とともに大きく振れて動くことが、若い肌にはない視覚的な肌のノイズとして感じられる可能性があること(2)顔を縦に伸ばした際、顎の動きに比べて頬の皮膚の動きが遅れて動くことが、潜在的に老けた印象を与える可能性があることが示唆され、これらが複合的にエイジングサイン(老化兆候)として認知されている可能性があることを新たに解明した。
以前の研究により”見た目の年齢を判断する際に、頬部に視線が向けられる”ことが分かっており、今後これらの現象を作り出す肌内部成分の構造を伴う変化を探ることで、相手に老けた印象を与えず若々しい印象を与える方法の提案や化粧料の開発に結び付けたいと考えている。
同成果は7月12日に開催された第78回日本化粧品技術者会(SCCJ)研究討論会にて発表された。
- 参考リンク
- ポーラ化成工業株式会社