美白のグルタチオン注射に警告
2016.09.9
国際部
グルタチオンによる皮膚漂白の危険性への喚起が8月31日、「BMJ」オンライン版の編集ページに掲載された。
筆者の皮膚科医師Ophelia E Dadzie氏は、皮膚漂白は医師による色素性疾患治療であって、審美的な美白剤として区別されるべきであるとし、英国の規制当局は、この潜在的に危険に対して警告する必要があると述べた。
皮膚漂白はアフリカ、南北アメリカ、アジア、中東およびヨーロッパで広く行われている。漂白剤にはヒドロキノン、局所ステロイド、水銀、コウジ酸などが使用されている。このような皮膚漂白の潜在的な危険には皮膚への刺激、アレルギー性接触皮膚炎、外因性組織褐変症、感染症、および高血圧、糖尿病、腎疾患などの全身性疾患にもつながっている。皮膚漂白の危険性を啓蒙する世界的キャンペーンなどの努力にもかかわらず、英国では皮膚漂白に非経口グルタチオンの使用が増加しているという事実がある。このサービスは審美クリニックにおいて、時には非医療従事者の手によってなされ、非常に高額な処置料になっているケースもある。
一方、米国ではすでに食品医薬品局(FDA)によって、非経口グルタチオン(注射)の危険性についての勧告的警告が発せられている。また、非経口グルタチオンによる皮膚漂白が一般的に使用されているフィリピンでも、FDAとフィリピン皮膚科学協会の共同で警告が発表されている。
美白剤としての全身グルタチオンの有効性を支持する公開されたデータは少ない。適切な投与計画、ガイドラインなども存在しない。静脈内グルタチオンの使用に関連して報告された副作用には神経・腎臓・肝臓毒性、一過性頭痛、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死などの有害症状がある。また、非医療従事者がこの治療を管理するときに特に懸念されるものにHIV、C型肝炎などが考えられている。