「イスクラ中野店漢方セミナー」食養生による体質改善を紹介

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2016.11.22

編集部

第3回「イスクラ薬局中野店漢方セミナー」がこのほど、都内で開催され、同店薬剤師の手塚淑人氏が食養生などによる体質改善について紹介した。

胖大海今回のテーマは「体質は変えられる!?」。冒頭、養生茶として「胖大海」(はんだいかい)のお茶を参加者に振る舞い、講義を進めた。胖大海は、呼吸を通して楽にする「開肺気」、肺熱による喉の痛みや咳などを鎮める「清肺熱」、熱結による便秘などを改善する「清腸通便」の効能がある。「余分な熱を取ることができるが、冷え性の人は舐める程度にとどめた方がよい」(手塚氏)とアドバイスした。

中医学では、バランスを重視する「整体観念」という考え方があり、体質の偏りによりバランスを崩すと病気になってしまう。その原因として生活習慣が大きなウェイトを占めている。「体質を変えるということは、自分自身の生活習慣を見直すこと。どんなに高価な薬を使っても、生活習慣を改善できないと薬も効かない」(手塚氏)ことを強調した。

具体的な養生としては食事、睡眠、運動の3つを挙げた。中でも食事は最も重要だとして、五臓の「脾」の働きを紹介。脾は、食べ物の栄養分を摂り込んで体全体に運ぶ機能があり、これを中医学では「運化」(うんか)と呼ぶ。また、脾は「湿」を嫌い、「脾の働きを弱めてしまう。日本は湿度が高いので、胃腸の弱い人が多い」(手塚氏)といい、中国では脾が最も大切だと主張する中医家もいるという。

30箇条今回のセミナーでは、同店が推奨する生活養生30箇条の一部を紹介。まず第1条は早寝早起き。特に睡眠については、「夜11時~深夜3時の間は外さないでほしい。この時間帯は自律神経などを整え、人間が生きていくために大切なものを補う」(手塚氏)。遅くとも夜12時を超えないことを勧めた。

第2条はやさしい日光を浴びる習慣をつけること。「木漏れ日を浴びることで、気の流れがよくなり精神的に元気になる」(手塚氏)。第3条は適度な運動習慣で、「軽く汗をかく程度の、無理なく続けられる運動がよい。中国では毎朝、太極拳をやっていない公園はないほど」(同氏)で、身体を動かすことの大切さを強調した。

食に関する養生法としては、腹八分目を目安とする(第5条)、朝食は簡素な軽食とする(第9条)、消化不良や身体が受け付けない反応を起こしやすい食材に注意する(第17条)、食欲がないときや胃がもたれるときは無理して食べない(第22条)、冷たいものは摂りすぎない(第26条)、などを挙げた。

このうち第5条の判断基準の1つとして“眠くならない”ことを挙げ、「食べ過ぎて脾の働きが衰えて、気が頭に上りにくくなるから眠くなる」(手塚氏)と解説。第17条については、「牛乳は栄養価が高く身体への負担が大きいのでお勧めできない。戦後の栄養不足の時代にはよかったが、現代は栄養過多なので消化不良に。健康のために毎日飲むまで意識しなくてよい」(同氏)などとアドバスした。

大切なのは、生活養生は健康づくりの楽しみとして毎日取り組むことで、「例えば、冷たいものは絶対ダメだとか、ストイックになりすぎないこと。ストレスにならない程度に習慣づけとして楽しんでほしい。何でも“~すぎ”はいけない」(手塚氏)と注文した。

セミナー後半では、一般社団法人 女性の中医学普及会 代表理事・漢方薬剤師の柳沢侑子氏が、家庭でできる薬膳料理として「長芋と牛肉のピリ辛いため」を紹介。長芋は生薬では「山薬」と呼ばれ、胃腸の機能を高めてスタミナをつける。牛肉はブタ肉より温める力が強いので、寒い冬にはお勧めの食材。参加者は各々に試食を楽しんでいた。

次回のセミナー(11月28日・29日開催予定)では、四季などによって変わる身体のリズムについて、中国最古の医学書「黄帝内経」に記載されたツボなどを交えて講義する。

参考リンク
イスクラ薬局中野店漢方セミナー

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