薬のネット販売議論集約できず

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2013.06.10

編集部

厚労省の検討会は、市販薬(一般医薬品)のネット販売について副作用が少ない2類についてネット販売を容認。一方、市販薬の2割を占める高リスク薬(1類と2類の一部)については、薬剤師会などのネット販売慎重派と推進派のネット販売事業者との意見が対立し、ネット販売は先送りになった。検討会は、最高裁のネット販売支持の判決を受けて今年2月から薬剤師会、ネット販売事業者、消費者代表らで議論を重ねてきたが5ヵ月経っても意見が収拾できないで幕切れとなるなど後味の悪さを露呈した。

市販薬は、2009年6月に施行された改正薬事法で副作用などリスクの高い順に1類、2類、3類に分類されている。
1類は、もともと医師が処方していた高リスク薬で胃腸薬、解熱鎮痛剤など約100品目、2類が風邪薬、水虫薬など8,290品目、3類がすでにネット解禁されているビタミン剤やうがい薬など2,950品目が分類・指定されている。また、1類と2類について厚労省は、薬剤師の対面販売を省令で規定し3類に限定してネット販売を認めた。

改正前からネットで1類、2類、3類の販売を行っていた楽天子会社のケンコーコムとウエルネットの2社は、2009年5月に省令で規制する国に対して提訴。今年1月に最高裁は、省令を違法とする判決を出した。
最高裁の判決を受けて厚労省は、今年2月にネット販売の新ルールを決める検討会を立ち上げ薬剤師会、ネット販売事業者、消費者代表など利害関係者らで検討を行ってきた。

しかし、ネット販売を届け出制とすることや対面販売する実店舗が必要とすること。2類についてネット販売を認めることで推進派、反対派とも合意した。だが、1類と2類に指定されている8,200品目の内、指定第2類に分類されている2,400品目について安全性を重視し薬剤師の対面販売を主張する慎重派と薬の特徴に応じて規制することを主張するネット販売事業者が激しく対立。今後に持ち越しとなった。

厚労省は、別の検討会を設けて対面販売の安全性確保、不正販売業者の棲み分けなど積み残された課題について検討し合わせて積み残した市販薬の3類と指定2類のネット販売是非を含む検討会での論点整理を行って上で、基本方針として政府の成長戦略に諮る。

厚労省の基本方針には、市販薬ネット販売のルールについて市販薬のリスクごとに分類されている1類(毛髪剤や一部の胃腸薬)と2類(風邪薬、鼻炎薬、漢方薬)の高リスク薬については、消費者の安全性を確保するため、薬剤師を配置して対面販売並みにネットやTV電話で症状を聞き相談に応じながら文書で説明、販売することを義務付ける。また、不正サイトで偽造薬の販売防止を図るため、ネット販売事業者の認証制導入と第三者による監視委員会を設けて不正薬販売を防止することなど新ルールによるネット販売解禁を示す内容が骨子となる見込み。
基本方針は、6月に開く政府の成長戦略会議に提出して検討され、閣議での最終決定を行う。消費者の安全性と不正サイトとの差別化を強く要望してきた公明党案が盛り込まれていることから最終的に閣議決定されるのは確実とみられる。

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