「日本漢方医学教育振興財団」を設立、漢方教育研究に助成

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2017.02.6

編集部

株式会社ツムラ(東京都港区)が漢方医学教育の情報発信を行う場として開催してきたKampo Medical Symposiumが、新たに設立された一般財団法人 日本漢方医学教育振興財団(代表理事・加藤照和氏)に引き継がれることになった。同財団は4月から正式に事業活動をスタートする。

漢方医学教育をめぐっては、2001年に文部科学省から公表された「医学教育モデルコアカリキュラム」の中で初めて漢方医学の導入が認められた。具体的には、同年3月に和漢薬を概説できること、2011年3月に改訂された同カリキュラムの中では和漢薬、漢方薬の特徴や、使用の現状について概説できることが盛り込まれた。

これ踏まえ、「医学教育の中で漢方医学が衰退することなく、推進できる環境を整えるべく支援することが、ツムラが漢方のリーディングカンパニーとしての果たすべき役割」(加藤氏)との考えのもと、2001年から17年間にわたって、大学における漢方医学教育の情報発信の場として、Kampo Medical Symposiumを開催してきた。

同シンポジウムは、全国の大学から800名を超える医師が参加。各大学の漢方教育の現状について情報発信を行っている。現在は、すべての大学医学部で漢方医学教育を実施。8割以上の大学で8コマ以上を必修として、漢方臨床実習や学内での教員養成の仕組みを有する大学が増えている。

しかし「将来の漢方医学教育の定着・発展を目指すうえで、次のステップにいくためにはどうするべきか検討した結果、シンポジウムを通じた一企業としての役割は終え、独立した組織が必要」(加藤氏)と判断。同財団の設立に至った。

同財団は評議員6名、理事13名、監事2名で構成。評議員会議長には、東京有明医療大学学長の佐藤達夫氏が就任した。同財団の主要事業は、医学教育研究者への支援で、公募する自由テーマと指定テーマに対して教育研究費を助成。これらの研究助成の報告の場として、従来のKampo Medical Symposiumが引き継ぐ。また、漢方医学教育功労者への表彰も行う予定。

同財団には、「大学医学教育研究者に対する漢方教育研究助成、学会や行政機関などとの意見交換など、一企業としては担えない機能がある」(加藤氏)として、さらなる漢方医学教育の発展推進に貢献したいとの考えを示した。

また、教育研究助成の対象については、「21世紀は関連職種連携が必要な時代」(専務理事・北島政樹 国際医療福祉大学名誉学長)、「医師に限定しないで薬学部なども入る」(常務理事・伴信太郎 名古屋大学大学院医学系研究科総合診療医学分野 教授)などとして、助成対象のすそ野を広げていく考えが示された。

参考リンク
株式会社ツムラ

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