減量手術は腸内微生物の構成を大きく変える
2017.06.2
国際部
肥満手術の中でも効果が大きいとされるルーワイ胃バイパス手術と腸内微生物との関係を考察した研究が5月26日、「The ISME Journal」オンライン版に掲載された。
一般的な肥満手術であるルーワイ胃バイパス(RYGB)と腹腔鏡調節胃バンディング手術(LAGB)は、解剖学的に異なる術式である。 RYGBはLAGBと比較してより大きな減量を達成することが知られている。腸内微生物の変化はLAGBではなくRYGBで報告されており、減量手術への微生物の影響はさらなる研究を必要としていた。今回の研究を主導した米国アリゾナ大学の研究者らは、RYGBがLAGBよりも腸内微生物とその代謝の変化に大きく影響し、変化した微生物がより大きな減量に寄与し得ると仮定した。
多元的アプローチを用いた分析の結果、RYGB術後の腸内微生物の構成は、術前肥満時、適正体重者、LAGB術施術患者のものと有意に異なっていた。 RYGBと術前肥満時の微生物構成の違いは、代謝物にも反映されていた。微生物の多様性はLAGBに比べ、RYGBでより大きかった。胃酸の曝露がより低いために、大腸菌、口腔細菌、ストレプトコッカスなどは、RYGBでより豊富に存在し、存在量は減量率と正の相関があった。
これらRYGB後に多くみられる微生物の多くは、アミノ酸発酵を可能とする。おそらくはそのために、アミノ酸および炭水化物発酵によって生成されるイソ吉草酸、イソ酪酸、イソ酪酸、プロピオン酸はRYGB術後には多かったが、LAGB術後には少なかった。RYGBはLAGBよりも腸内微生物と代謝物の変化を大きくもたらし、RYGB術後には多くのアミノ酸発酵からなるユニークな微生物叢をもたらすことが明らかになった。