漢方養生堂、「中医美容」の実践方法を紹介
2017.07.24
編集部
漢方養生堂(東京都文京区)主催の中医特別セミナー「中医美容」が23日、同店舗で開催され、医学博士で中医師の宋靖鋼氏は「近年、中国で注目されている中医美容は学問としてすでに体系化されており、施術の面から見ると、中薬(生薬)の服用、薬膳、鍼灸、マッサージ、外治(手術)、気功、運動などの方法がある」と紹介した。
中医美容は、1990年代後半に中国において「中医美容学」として確立された学問で、近年、中国各地で中医美容を教育課程に導入する教育機関が増えつつある。中医美容の学問的定義は、中医学の理論をベースとしつつ、人体美学の理論と結び付け、人体の美しさを損う原因とその過程を専門的に研究すること。
さらに、容貌を損う要因の予防と治療、生理的な欠陥の矯正によって、健康の促進、老化の緩和、病気の予防、人体および精神の美しさを形づくることを目指している。
美しさを損なわずにいるための予防原則としては、「未病を治す」「病気を引き起こす根本的因子を治す」「正気を助けて邪気を払う」「陰陽を調整する」「体質、地域、気候などの因子を考えて治す」の5つで、基本は中医学の基礎理論に則っている。
中医美容を実践する上で良く使われる中薬は、補気、補血、補陰、補陽、理気、活血、消癥(しょうちょう)、解毒、消食、利湿。このうち、例えば活血の代表的な中薬として田七人参を挙げ、「少量で使えば活血だが、多めに使うと止血になる」(宋氏)として、同じ中薬でも量によって効能が変わることを説明した。
中医美容の薬膳についても紹介。施膳に際しては、弁証論治した上で、中薬と食材を組み合わせて料理を作る。これを食べることで体質を改善するとともに、損美性(そんびせい・美しさを損なう)の疾病予防などにつなげることができる。
具体的には、熱証の人に対してはきゅうりやトマトなどの寒涼性、寒証の人に対してはニンニクやニラなどの温熱性の食材を選択するとよい。ただし、中薬を選択する上において、「日本では薬扱いのものがあるので注意が必要」(宋氏)と指摘した。また、比較的陰陽バランスの取れた「平和体質」の人に対しては、今後の健康維持を目指して、キノコや鶏卵などの平性の食材を例に挙げた。
鍼灸も中医美容の一つ。日本では一部ですでに「美容鍼灸」と銘打った施術に取り組んでいるところもある。今回のセミナーでは、美容のツボを数カ所紹介。例えば、目の周囲のクマなどに対しては「晴明(せいめい)」(目頭の内側で少し上にあるくぼみ)など、むくみなどに対しては「足三里(あしさんり)」(膝の外側のお皿の下から指4本分下)など、乾燥肌などに対しては「太衝(たいしょう)」(足の親指と人差し指の骨が交わる手前のくぼみ)などが効果的として、受講者とともにツボの場所を確認した。
- 参考リンク
- 漢方養生堂