アイリスオーヤマ、美容家電分野に新規参入

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2017.09.22

編集部

肌の手入れなど顔や髪、全身の美容のために効果・効能のある家電製品を美容家電という。生活用品製造卸のアイリスオーヤマ株式会社(宮城県仙台市、非上場)は、机などにおいて使う「置き型ドライヤー」を引き下げて美容家電分野に新規参入した。

置き型ドライヤーHDR-S1(写真)は、吹き出し口が大きく広範囲に温風を放出するため、局所的な熱の集中を防ぎ髪へのダメージを抑える。また、マイナスイオン発生機能があり、静電気の発生を抑えて髪の広がりを低減する。本体を手で持って髪を乾かすこともできるなどが特徴。
すでに今年8月中旬から全国の家電量販店、ホームセンターなどを中心に販売を始めており、初年度5万台の販売を見込んでいる。

同社は、置き型ドライヤーの開発・販売について「効率良く髪や肌のケアを行いたいという女性が増えている。特に、長い髪を乾かすのに必要なドライヤーの使用時間は10~15分以上でその間、片手で本体を保持している必要があるため、ドライヤー使用中の時間を有効活用したい、というニーズが多い。当社が実施したアンケート調査でも回答者の約7割以上がドライヤーをしながら他の作業をしたい、と回答している。こうしたニーズをくみ取り開発し市場投入した」としている。

同社の2016年12月期は単体の売上高が過去最高の1220億円と前期比15%増となった。炊飯器や布団乾燥機などの家電が前年より約2割伸びたのが大きい。
今度、同社が美容家電に参入したのは、家電に続いて美容家電でも収益を上げることで、さらに成長軌道に乗せるのが狙い。

同社は、2009年に水の量を微調整できる炊飯器を市場に投入し、家電事業に参入した。2013年には、大阪に開発拠点を設けてシャープ、パナソニックなど大手企業の技術者を約100名採用するなどして家電製品の開発に拍車をかけた。

以来、現在では、調理家電中心に家電製品の総アイテム数が20アイテムを超え、売上規模も600億円を見込むなど主力事業にのし上がっている。しかし、今度、美容家電に参入したとはいえ、製品アイテムがドライヤーだけで盛り上がりに欠ける。また、どのような機能を持った美容家電を市場に投入するのか、現時点では、不透明の状態にある。

パナソニックや東芝、日立など総合力を発揮する美容家電の大手と伍して戦っていくためには、同社の得意とするコスト削減を図った低価格製品を投入していくことが求められる。今後、美容家電の開発・販売等の具体的な戦略が待たれる。

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