日焼けと皮膚がん、関連性がない可能性
2018.02.6
国際部
サンベッドと悪性黒色腫との間に明確な因果関係はないという研究結果が1月30日、ドイツのSaarland Universityからプレスリリースされた。研究の詳細を報告した2本の論文が「Anticancer Research」Vol. 38に掲載されている。
人工的な紫外線が悪性黒色腫の原因となるかどうか。近年の皮膚がんの増加を背景に、この疑問には多くの研究がなされてきた。1本目の論文では、最近公表された論文や報告書からの結果をメタ解析した。研究者らは、人工的な紫外線でわずかに増加している黒色腫のリスクを見出したが、一方で、メタ解析に含まれたこれら研究の重大な欠陥を特定した。これまで発表された研究の多くは、因果関係をサポートしていない品質の低いデータによる観測研究に基づいていた。「各研究のサブグループに目を留めてみると、サンベッド以外にリスクとなり得る因子があることが分かる」と同大学医学部皮膚科のReichrath教授は述べている。
2本目の論文では、EUとWHOが最近公表した2つの報告書の批判的評価を行っている。これらの報告は、ヨーロッパの建築に見られる大規模なサンルーム「ソラリウム」の紫外線が黒色腫および非黒色腫皮膚癌(基底細胞癌、皮膚扁平上皮癌)のほとんどの割合を占めると結論付けている。さらに、これらの報告は、30歳未満の患者に見られる黒色腫の大部分がサンベッドでのUV光線曝露によるものであると述べている。これらの報告によると、サンベッドからの紫外線への曝露には安全な制限はない。Reichrath教授は「これらの報告書の背後にある2つの委員会の意見は、不完全で、不均衡で、重要でない既存の科学文献の評価に基づいている」と述べており、「中程度のソラリウムの使用が悪性黒色腫のリスク増加をもたらすと結論づけることはできない」としている。