株式会社資生堂（東京都中央区）は5日、2020年に売上高1兆2000億円超、営業利益1200億円超などの目標を盛り込んだ「新3カ年計画」（2018年～2020年）を策定したと発表した。世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニーへと進化していく方針を掲げた。

中長期戦略「VISION 2020」の第2フェーズである新3カ年計画では、各地域の顧客ニーズに対応したブランド戦略を徹底し、積極的なマーケティング投資を継続しながら、デジタライゼーションの加速や新事業開発、さらにイノベーションによる新価値創造を進めていく。

「VISION 2020」の前半3カ年となる2015年～2017年は「事業基盤の再構築」の期間と位置づけており、積極的なマーケティング投資などを実行してきた。その結果、2020年に目標としていた売上高1兆円超を2017年に達成し、営業利益も過去最高の実績となった。

そこで2030年に向けて、日本・アジアでの高いプレゼンスを維持しながら、グローバルプレステージ化粧品市場3位以内のポジション獲得に向けて、2018年から始まる後半3カ年は「成長加速の新戦略」の実行期間として位置付けた。3カ年売上高CAGR（年平均成長率）は8％超の達成を目指し、ROEは14％超を掲げた。

新3か年の重点戦略としては、プレステージファースト戦略を軸に、成長性の維持・拡大とコスメティクス・パーソナルケアブランド事業のアジアにおける成長を加速。2017年に対して3年間累計で約1200億円規模でのマーケティング投資を強化する。

世界のプレステージ市場においては、同社の強みであるスキンケア商品の売上成長によって収益基盤を強固なものとしながらシェア拡大を実現するため、メイクアップやフレグランスの売上成長を図る。コスメティクス・パーソナルケアブランド事業では、現在日本を中心に展開している『エリクシール』『アネッサ』『SENKA』『インテグレート』の4つのブランドを中国やその他アジア地域でも注力していく。

さらに供給体制の再構築を目的に、生産体制の強化、新工場の建設、サプライヤー各社との協業強化など、マーケティング投資とは別に3年間累計で1300億円の設備投資を実施することを盛り込んだ。

一方、ビジネスオペレーション基盤の整備のために、社員の専門能力開発に取り組みながら、各地域本社間のビジネスプロセスとの連動、ITプラットフォームの統合やデータの一元管理を進め、3年間累計で約270億円を投資。化粧品のみならず、人工皮膚、毛髪・皮膚再生、先端美容など新領域を創出し、革新的なビジネスモデルを構築していく。

研究開発領域では、2020年には売上高に占める研究開発費比率3％、研究所員数を1500人に増やす。さらに将来を担うグローバル人材の育成に向けて若手を対象としたMBAプログラムの実施などに3年間累計で約140億円を投資する予定。2020年に国内の女性管理職比率40％を目指すとしている。