エスティ ローダー「ブルーライト照射で皮膚細胞にダメージ」

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2018.05.29

編集部

エスティ ローダー研究所はこのほど、夜間のブルーライトの照射と、皮膚細胞における重要な時計遺伝子の発現の低下との関連について、新たな知見を得たと発表した。

LED電球を用いて波長410nmのブルーライトを細胞に照射する装置を開発し、一連の実験により皮膚細胞への光害の影響を評価することに成功。その結果、皮膚細胞はブルーライトに極めて感受性が高いこと、またブルーライトは時計遺伝子per-1へ影響を与えて皮膚細胞が夜のサイクルに入るのを妨げることがわかった。

また、ブルーライト照射後の数時間、遺伝子per-1の発現の有意な低下が継続し、すなわちブルーライトの細胞への悪影響は長時間続くことが明らかになった。細胞の遺伝子per-1活性が低下すれば、皮膚細胞は本来のサーカディアンリズムを失い、夜間の修復作用や再生作用のサイクルを開始できなくなる。その結果、活性酸素(ROS)などのフリーラジカルの産生が2倍以上に増加し、さらに細胞周期の喪失とフリーラジカルの増加によりDNAの損傷が50%増加することが示された。

次いで、ブルーライトの照射による肌へのダメージをさらに評価するため、より長時間皮膚モデルにブルーライトを照射し、その結果産生される炎症性メディエーターを測定。ブルーライト照射時間が長くなるほど炎症性メディエーターの産生量が増加することから、ブルーライトは遺伝子per-1の発現を低下させて皮膚本来の夜間の細胞修復メカニズムを阻害すると同時に、細胞内に強いダメージを与えることが示された。

さらに今回初めて、夜間のブルーライトが肌を修復サイクルから脱同期させるメカニズムに迫る重要な手がかりを発見した。オプシンは光感受性タンパク質のひとつであり、視覚のみならず生体のサーカディアンリズムの調整に関わるタンパク質として広く研究されている。近年、皮膚細胞においてもオプシンの存在が明らかになり、皮膚細胞でも眼と同様にオプシンが光センサーとして働き、光によって惹起されるシグナル経路が存在する可能性が示唆されている。

エスティ ローダーの研究者たちは、皮膚細胞に直接ブルーライトを照射することにより、光感受性タンパク質オプシン、opsin-1の発現が低下することを示した。さらに、エスティ ローダーが開発した遺伝子per-1の発現に働きかけるトリペプチドで細胞を処理すると、opsin-1の発現が暗黒条件下と同程度のレベルまで回復したことから、opsin-1がサーカディアンリズムの調整と直接的に関連することが初めて明らかになったとしている。

今回の成果は、5月16日~19日に米国フロリダ州オーランドで開催された国際皮膚科学会議(IID)において発表した。

参考リンク
ELGC株式会社

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