【連載】大手化粧品会社の研究㊵アンファーの会社研究 ~大学の研究機関と幹細胞再生医療研究に力~(中)

2018.07.31

特集

編集部

アンファーでは、大学の医療機関と連携し、商品開発等の共同研究に取り組んできた。主な共同研究として2009年から聖マリアンナ医科大学(写真)と毛包の幹細胞を用いた再生医療の研究。2012年から日本医科大学 形成外科と立体的な構造を持った細胞が、細胞周辺の環境から物理的な影響の変化を受けて、細胞の遺伝子発現が調節されることによって起こる生理学的現象「メカノバイオロジー」の共同研究。2014年から順天堂大学医学部付属順天堂医院と共同で男性不妊に対するサプリメントの共同研究等に取り組んできた。

こうした各研究機関とのリレーションの中で、特に注目される研究が聖マリアンナ医科大学との幹細胞再生医療(アンファー寄付講座)の取り組みと日本医科歯科大形成外科との再生医療の共同研究である。

幹細胞は、組織や臓器に成長・分化する元になる細胞。幹細胞のうち、体の中に元々存在し、決まった組織や臓器の中で働くのが体性幹細胞。
体性幹細胞は、幹細胞を培養するときに分泌される「幹細胞培養液」または「幹細胞エキス」を配合した幹細胞コスメへの応用や傷ついて古くなった細胞を入れ替えたり、病気やけがで失われた細胞を新しく補ったりする機能・役割をもつ。
体性幹細胞には、赤血球や白血球などの血液をつくる造血幹細胞、神経系をつくる神経幹細胞、骨や軟骨、脂肪などへの分化能がある間葉系幹細胞などがある。
幹細胞の機能を使った再生医療では、安全性の評価などに課題があるips細胞やES細胞に比べ、体性幹細胞の研究が実用化に近づいている。
こうした中、聖マリアンナ医科大学との共同研究は、人体に多く存在する毛包上皮幹細胞と脂肪由来の間葉系幹細胞を採取して再生医療に応用できる研究を進めている。
これらの幹細胞を用いた再生治療により、失われた毛髪を再生することから脊髄損傷の治療に至るまで幅広い活用を目指し、臨床応用に向けて研究を推進している状況。

日本医科大との共同研究は、毛乳頭細胞がどのような毛髪関連遺伝子を発現するかの研究。以前から頭皮マッサージによる血流促進が育毛、発毛に効果があると慣習的に考えられてきたが、科学的に証明されたものとはいえなかった。
そこで同社は、日本医科大学形成外科チームと、一定条件化の伸展刺激を与えた毛乳頭細胞がどのような毛髪関連遺伝子を発現するか、に着目して共同研究を開始(2012年)した。
これまで科学的根拠が皆無に等しかった頭皮マッサージによる有効性を遺伝子レベルで解明する、初めての試み。
この研究は育毛・発毛に対して効果的なマッサージ方法の開発や添加する機能性原料の選択に実用できる可能性を秘めるなど画期的な研究として期待され、成果がまたれる。

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