【連載】大手化粧品会社の研究㊶アリミノの会社研究 ~プロユース向け毛髪化粧品に特化~(上)

2018.08.2

特集

編集部

株式会社アリミノ(東京都新宿区、未公開)は、法人設立(1950年3月)して今年(2018年)3月で、創業68年を迎えた。創業以降、ヘアスプレーやヘアマニキュア、フォーム状トリートメンなど毛髪化粧品を日本全国に広めたパイオニア的存在。
現在のコア事業は、美容室が扱うシャンプーやトリートメント、ヘアスタイル剤、ヘアカラー剤、パーマ剤などのヘア化粧品を代理店通じて美容室に卸販売している。
美容師がプロユースとして安心して使えるもの、使いやすいものをつくることを最重視して商品開発している。また、美容師のこだわりに応えるため同社は、約800種類もの頭髪・肌用化粧品を提供。ヘアカラー剤だけで4つのブランドを持ち、164色のアイテムを揃えるブランドもある。

同社が徹底しているのは、美容師の声にいち早く耳を傾けること。そのため、日々の営業活動の中で、現場の美容師に現在の商品への不満やもっと必要なものはないか等をヒアリング。また、有名店の美容師に参加してもらうモニタリングテストなども行なっている。
新しいヘアカラーを開発する場合、福岡、大阪、名古屋、東京などの各都市から美容師を本社へ招き、商品開発の意見交換を行っている。また、エンドユーザーを意識したマーケティングとして、消費者向けにグループインタビューやアンケート調査を行っている。
アンケート調査は、全国の消費者約7000 人を対象に、美容室の利用状況や化粧品に対する意見などを把握するためのネット 調査。美容師と一般の顧客の要望を総合して喜ばれる商品開発が狙い。

同社では、美容室向けの商品を扱うのと平行して美容師向けのサロン開発事業も展開している。サロン開発事業は、美容師が自分の店舗を持つ段階で、技術力以外にもさまざまな準備が必要となる。そこで、独立開業や自宅で開業を考える美容師にサロンの内装デザインや設計などをサポートするもの。
同社は、サロン開発事業について「主要事業というより、あくまで顧客支援の一環という位置づけで展開している。サロン開発事業によって顧客である美容室や美容師との長期信頼関係を築き、今後の商品販売に繋がる」としている。

明日の美容師を輩出する狙いでヘアデザインコンテスト(写真)も開催している。全国の美容学校等に在籍する学生を対象に技と実技を競うもの。今年(2018年)で第15回を数える。
参加人数が200人以上にもなる大規模な大会で上位入賞者には、ロンドンの有名美容室への視察研修旅行に参加できる権利を提供している。
こうした一連の美容師に関わる支援策は、プロユースに特化した同社の事業展開を進めるうえで「美容業界全体の発展のカギを握るのは、美容師であり、美容師との深い絆が自社の収益向上や成長につながる」との考えが根底にある。表にアリミノの会社概要を示す。

#

↑