【連載】大手化粧品会社の研究㊹キレートジャパンの会社研究 ~合弁会社設立、マスクシートを商品化~(下)

2018.08.22

特集

編集部

キレートジャパンは、ヒトIPS細胞を用いた創薬ベンチャーの株式会社リプロセル(神奈川県横浜市、ジャスダック上場)及び家庭用体脂肪計・体組成計の開発・販売を行う株式会社昇陽(東京都渋谷区)の2社と合弁会社「株式会社リプロキレート」(東京都豊島区)を設立(2016年11月)し、幹細胞コスメ事業に本格進出した。
「リプロキレート」(資本金3000万円)の出資比率は、リプロセル35%、キレートジャパン40%、昇陽25%の割合。

3社が合弁会社設立で合意したのは、キレートジャパンがリプロセルのIPS細胞を使った再生技術や創薬技術を応用して幹細胞コスメの開発を促進する狙い。
一方のリプロセルは、化粧品企業のキレートジャパンと組んで合弁事業に乗り出したのは、創薬や再生医療等の臨床開発に長期間を要し、承認を得てから販売するまでコスト、時間がかかること。
それに対し化粧品の開発は、短くて済み、自社の強みの技術を化粧品開発に応用できること。特に、事業を開始してから短期で収益を見込めるため、財務の健全性につながると判断した。
また、昇陽は、体脂肪計・体組成計の販売が期待できるとして合弁事業に参画した。

合弁設立後、リプロセルは、動物由来の成分や抗生物質を含まない方法で高純度幹細胞(MSC)を培養した培養液を製造し、キレートジャパンに提供。また、合弁会社は、リプロセルの幹細胞培養技術の応用とキレートジャパンの凍結真空乾燥技術「ナノソープ」等を組み合わせて、緻密な3D構造をもつ幹細胞原料使用のマスクシート「セルアージュバイオマスク」(商品名=写真)を第一弾として商品化した。

同マスクシートの特徴は、シートの直径が2〜100ナノレベルのキメ細かなバイオセルロース繊維を使用。何百種類もの良質の成分や数十種類の成長因子(グロースファクター)を大量に含み長時間肌にフィットする。
2018年9月初旬から、キレートジャパンの通販サイトや美容サロンなどプロ向けに販売を始めており「世界に通用するワールドワイズな商品に育てる」方針。

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