【連載】大手化粧品会社の研究(75)ルバンシュの会社研究 ~リップクリーム累計100万本販売のロングセラー商品に~(上)

2019.02.4

特集

編集部

株式会社ルバンシュ(石川県能美市)は、1990年の創業以来、地元産の野菜や果物を化粧品原料として使用し、100%食用成分で作った「食べられる化粧品」を開発、製造、販売する自然派化粧品メーカー。
同社は、自社開発の化粧品について「食べられるくらい安全な化粧品」を前面に押し出しながら売り込みを図るなど、小粒ながらピリッと辛い独自の味を放つ。
販売は、通販中心に展開。現在、市場に投入のクレンジング、化粧水、リップクリーム、メイクアップなど販売品目数は、約31品目にのぼる。

代表的な商品として天然由来成分100%でノンシリコンの「フルーツシャンプー」や天然由来成分100%でノンシリコンのフルーツトリートメントなどがある。中でも、ニンジンや大豆、米ぬかなどでできた「ベジタブルリップ」などのリップクリームは、2001年10月に販売して以来の累計販売数が100万本を超える大ヒット商品になっている。多くの女性に安全性が認識されたことがヒット商品に繋がった。写真にフルーツ&ベジタブルリップを示す。

特に、基礎化粧品は、食用成分のみで作っており、全製品の約6割が「食べても問題ない」商品で占める。しかし、「果実エキスで洗う」をコンセプトに開発したシャンプーやトリートメントは、天然由来の成分だけで、どこまで市販品と同レベルまでもっていけるか。開発面で大きなネックとなった。また、ドラッグストアなどで販売されているシャンプーやトリートメントは、コストを重視しなければならないこともあり、石油由来の成分で作られた製品が多い。

同社は、天然成分による泡立ちや潤いを出す技術を蓄積するなどして実用化にこぎつけた。さらに、野菜、果実等の天然原料は、熱に弱く品質が変わってしまう弱点があった。
このため、化粧水の製造工程において一切、熱を加えないこと。また、完成品についても雑菌検査を数日かけて行う徹底ぶり。実際、開発段階では、開発者自身が自分の舌で味見をする。舌に強い刺激を感じれば、別の原料へ変えることを検討する。舌の神経が持つ繊細さで製品の安全性を確認している。「効果効能がきちんとあり、なおかつ食べられるほど安心感がある」などのエビデンスの実証は欠かせなく行っている。こうした商品開発の基本が差別化を図る商品開発に繋がっている。

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