【連載】化粧特許と知的財産権⑪東洋新薬、知的財産専門部署で特許出願等推進(下)

2019.07.2

特集

編集部

東洋新薬の研究開発(R&D)は、単に人数が多いだけでなく積極的に研究成果の学会発表を促し、九州大、東大、京都大など大学との共同研究が盛ん。こうした研究開発への重点投資がODMというビジネスモデルを実現する上で不可欠な川上における二つの要件を満たした。一つは、独自の機能性素材の開発と集積。もう一つは、トクホの開発だ。

同社は、創立以来、研究開発型企業として高い専門性を備えた人材と設備を揃え、新規素材の探索及び開発、機能性素材の有効性・安全性の検証を通じた作用機序の解明などを進めてきた。
機能性素材開発の代表として「フラバンジェノール」、「すいおう」(甘薯若葉末)、「葛の花エキス」、最新の「ポテイン」など同社の素材ライブラリは手厚いものがみられる。また、既存素材の新たな機能性をエビデンスに基づいて開発する力も突出している。これがトクホの許可取得数がトップについた原動力となっている。

ところで「フラバンジェノールⓇ」は、フランス南西部ランド地方に育成する海岸松の樹皮から抽出した天然由来の機能性素材。
「フラバンジェノールⓇ」の名称だけでなくブランドロゴも商標登録するとともに、海外進出を見据えて39カ国で商標権を取得するなど知財に力をいれた。また、普通名称化防止のため、広告などにおいて登録商標マーク(Rマーク)や帰属表示の付記を徹底するとともに、辞書や第三者のホームページも調査し、普通名称化を促進する記載に対して修正を依頼するといった対策を講じている。
このような機能性素材の研究開発から「フラバンジェノールⓇ」を配合した化粧品「フラビア」シリーなどをブランド化して商品を開発し、販売支援までをトータルにサポートしている。

取引先の要望を的確に捉えて具現化すること。その結果として他社が真似のできない差別化された商品を取引先とともに世の中に送り出すこと、それがミッションと同社は考えている。
このミッションのため、創業当時より、知的財産の活用を経営戦略の1つとして位置づけ、知的財産活動に取り組んできた。
同社では知的財産管理に精通した専門部署を設置し、ネーミングの商標登録や処方技術の特許出願・管理などを推進することで、同社のみならず取引先の権利を守り第三者の権利を侵害しないように対策を講じている。

一方、特許技術で界面活性剤を必要としない三相乳化技術を応用した独自の新感覚美容ジェル化粧品「クリームインジェル」を開発するなど知財活用の動きもみられる。
三相乳化技術では「界面活性剤を使用することなく大量の油分配合が可能となり、肌への安全性に加え、いままでにない感触で安定性の高い化粧品製造を実現した。

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