化粧品ECの現状と課題④化粧品ECの現状と課題 ~オルビス、コミュニケーションツール導入しEC推進~(上)
2019.12.5
編集部
株式会社ポーラオルビスホ―ルディングス(東京都中央区)の化粧品ECは、子会社のオルビス株式会社(東京都品川区)が担っている。オルビスは、1985年2月に通販部門や販売チャネルを強化する目的で設立した。さらに2007年1月にEコマースに特化し、敏感肌・肌が弱い方向けの化粧品会社「株式会社ディセンシア」(子会社、東京都品川区)を設立し一体となって化粧品EC事業に取り組んでいる。
オルビスは、低中価格帯領域を中心にネットやSNS、カタログ、チラシ等を活用した通信販売と駅ビル等の商業施設に出店している店舗「オルビスザ・ショップ」(店舗数2018年12月末114店)の店舗販売を中心に事業を展開している。
こうした中、同社がECへ本格参入したのは1999年で、多様化するニーズに対応するため早い段階からECを稼働させた。以来、現在では、ECの受注比率が7割を超え、新規顧客獲得の主軸はSNSとなっている。特に、LINEにおいては、友達数が約2900万人を突破。公式キャラクター「うるにゃん」のスタンプ人気も手伝って幅広い世代層に広がりを見せている。
同社は、ここへきて顧客満足度を向上させるため、チャットボットの導入を図った。チャットポットは「対話(chat)」する「ロボット(bot)」という2つの言葉を組み合わせたもので、ユーザーと企業をつなぐコミュニケーションツール。
同社は、通信販売から出発していることもあり、電話対応で培った人肌感のあるコミュニケーションが強みだった。
ところがECは、人手を介さずに購入手続きが行えるため、その強みを生かしきれず、顧客との関係性が希薄化することが課題となっていた。また、ECの顧客にとっての自己解決ツールであるFAQ(よくあるご質問)は、情報量が多い半面、目的の回答にダイレクトにたどり着けない、という問題も抱えていた。
そこで、EC上でも人肌感のあるコミュニケーションを実現すると同時に、顧客の自己解決をサポートすることを目指してチャットボットを外部企業から導入した。
チャットポットの強みは、機械的にならないコミュニケーションにある。また、専門的な知識がなくても簡単に操作でき管理画面、PCやスマホ、LINEなどの複数チャネルに対応できる強みがある。さらに、FAQで解決できるような簡単な問い合わせは、チャットボットが対応し、個別の相談やサポートが必要な場合は、問い合わせページを案内する一方、有人チャットと連携して人が対応するという基本フローを構築している。
今後、ウェブやLINEだけでなく、様々なインターフェイスでバーチャルエージェントの「おもてなし」を体験できるように、スマートスピーカーやアプリを含めて1つの対話システムで提供できるシステムの開発やユーザー属性に沿ってカスタマイズ化された対応ができるようにデータ連携などにも力を入れていく計画。