化粧品ECの現状と課題④化粧品ECの現状と課題 ~オルビス、組織と社内改革で顧客満足度向上図る~(下)

2019.12.6

特集

編集部

オルビスの化粧品ECを見るうえで、組織改革も大きな変革を及ぼした。2018年に通販と店舗に分かれていた組織を統合した。顧客の買い物の仕方が大きく変わったことが主な理由。「スマホで調べて、店舗で見て、スマホで買う」という買い物の仕方をしている顧客が増えているなかで、一貫してマーケティングができる組織に進化させる必要があったことによる。

もともと同社は、通信販売と店舗の事業部が完全に分かれていた。しかし、現在の顧客は、通販でサンプルを取り寄せ、店舗でカウンセリングをした後、帰りにスマホで購入するといったことを当たり前に行う。だが、社内組織がチャネルごとに分かれている場合、顧客の変化に対応できない状況にあった。
2018年のブランド改革と同じタイミングで、組織を結合しただけでなくさらに社内のコミュニケーション改革も積極的に変えていった。
今までは社内のほぼ全員が一同に会してのコミュニケーションの機会はほとんどなかった、それを「Oneオルビスフォーラム」という新たな形で年2回、社長や経営陣自らの言葉で、会社の戦略や競争環境等について説明するようにした。また、社長が役職別に社員を集めて講義を行う時間を新たに設け、会社がどのような環境に置かれているのか、一人ひとりがはっきりと認識するようになった。「今までのオルビスは、カタログ通販を主流にしていたこともあり、ダイレクトメールを打てば一定のレスポンスがあり、どこにどのようなメッセージを出せばどうなるのか、という過去の分析を強みに伸びてきた。経営者の話を聞くことで未来を見つめながら「今、何をすべきか、を強く意識するようになった」と説く。

こういった組織改革と社内の風通しを良くする改革についての施策も寄与し、自社ブランド型の通販として顧客満足度の向上が図れるまでになった。未来を創っていくうえでは、それを起こす社員の存在が不可欠で「既存の枠組みにとらわれず、各自が自分らしくいられることを大切にしたい」―。そんな思いから同社は、勤務の服装も自由にした。
それまで一般的なオフィスカジュアルという服装規定に則っていたが「自分らしくいられる服装とは何か」をそれぞれ自由に考えられるよう、規定そのものをなくした。
店舗でBAが着用する制服も「一人ひとりの本来の力を引き出す」を主眼に2014年に創業したアパレルスタートアップ、シタテルと協業してリニューアル。襟や裾などを着方によってアレンジすることで、自分らしさを出せるデザインを採用するなど働き方改革も進めた。

一連の施策を取り組みながら化粧品ECの業績向上に繋げることができるか。引き続き同社の取り組みが注視される。

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