【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目⑬美髪技術、マンダム・細毛化対応ワックスを開発(中)

2020.03.26

特集

編集部

株式会社マンダム(大阪府大阪市)は、ミドル男性の加齢変化に対応した化粧品開発に取り組む中、長年にわたって技術開発を行ってきたヘアスタイリング分野において毛髪の細毛化という加齢変化に対応したワックスの開発に成功した。

同社は、ミドル男性のヘアワックス使用者を対象に意識調査を実施したところ「若い頃に比べてヘアスタイルのセット・維持がしづらくなった」という加齢に伴う変化を半数近くの人が感じていることをつかんだ。
同社は「通常毛と比較して細毛は、ヘアスタイルの維持が困難」とするこの変化が加齢による毛髪の細毛化と関係していると判断。細い毛髪を用いてヘアスタイルが崩れる原因の検証に取り組んだ。
通常毛(一般的な太さの毛髪)と細毛(細い毛髪)のそれぞれの毛束にハード系ヘアワックス(モデル処方)を塗布し、時間経過後の状態を調べた。
その結果、通常毛では形状が維持されていたのに対して細毛では、形状の崩れを確認。ヘアスタイルの維持ができない原因は「結晶性(大きな結晶のできやすさ)の高い整髪成分にある」ことを見出した。

こうした研究の中から毛髪の細毛化という加齢変化に対応したワックスの開発に繋げた。
ヘアワックスによる整髪は、毛髪同氏を整髪成分で接着させることで行われる。一般的にハード系ヘアワックスでは整髪力を向上させるために、「結晶性の高い整髪成分」を高配合し、部分的に整髪成分の付着量が多い箇所を作ることで、毛髪同士の接着を強固にしている。しかし、加齢によって細くなった毛髪は「自立する力(重さに耐える力)が通常毛よりも弱いため、部分的に多く付着した整髪成分の重さに耐え切れず、形状が崩れてしまう」と考えた。
そこで、整髪成分の付着量にかたよりがない状態(均一に塗布された状態)を作るために、櫛を用いて細毛の毛束に塗布したところ、時間が経っても形状維持できていることを確認した。
この結果、より細毛での整髪に対しては、部分的に整髪成分の付着量が多い箇所を作るのではなく整髪成分を均一に塗布することが有効であることが判明した。

こうした研究の中から同社は、細毛でもヘアスタイルがしっかりセットでき、長時間維持できるヘアワックス技術を開発した。
試作サンプルを用いてヘアワックスの検証を行った結果、整髪成分は均一塗布され、時間が経っても形状維持できていることを確認。更に研究を進めることで「結晶性の高い整髪成分」に対する「結晶性の低い整髪成分」の配合比率を最適化し、形状維持の効果を一層向上させることを実現した。

このワックス技術の開発により、加齢に伴う変化を感じていたミドル男性でも、ヘアスタイルをしっかりとセットでき、長時間維持できることに繋げた。引き続き同社は、加齢変化に対応した毛髪化粧品の開発に力を入れる方針。

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