【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目⑳マイクロニードル技術・化粧品への応用(下)~ニッシャ・化粧品分野に新規参入、マイクロニードルパッケージ等開発~

2020.05.13

特集

編集部

印刷、コーティング、ラミネーション等のメーカー「NISSHA株式会社」(ニッシャ・旧日本写真印刷株式会社、京都府京都市)は、新たに溶解性マイクロニードル技術で化粧品分野に参入し、超薄型マイクロニードルパッケージを開発した。

溶解性マイクロニードルは、生体内溶解性ポリマーを、あるいはそれを基材として有効成分を混合したものを数十から数百ナノメートルの長さの微細なニードル状に成形したもの。
これを皮膚に貼付できるようにパッチ状に加工することで、経皮吸収投与が可能な剤型となる。パッチを皮膚に貼付すると、ニードルは、皮膚のバリア機能を突破し、皮膚の内部で直接、溶解するため、単に皮膚に塗布する方法と比べて効率的に有効成分を伝達することが可能。また、ニードルの先端径(太さ)は皮内注射針の外径と比べ1/10以下の太さであるため、皮膚への貼付時に痛みはほとんど感じない侵襲性の低い投与法。
同パッケージは、保護機能を果たすプレート(保護プレート)とニードル部が密着・一体化したことで1製品当たりの比重を縮小。同時に、使用時の煩雑さを改善するなど独自に開発した高精細成形工法を採用してパッケージの超薄型化を実現した。

本開発品の量産化には、金型の微細加工技術と高精度な成形技術が必要とされるが同社は、産業資材事業やディバイス事業で培った精細加工技術を応用し、量産化を実現した。
高精細成形工法によるマイクロニードルの特長は
①用途や地域の法規制毎に異なる針形状の最適化
②使用時まで折れ曲がらない強度のある針形状の設計
③量産時にも均一な成形品質
④1cm四方に400本以上の高密度設計
⑤有効成分の変性を防ぐ低温乾燥処理など

このようにヒアルロン酸を基材としてニードル状に成形することで、塗布という方法では困難であった皮膚内部への高分子ヒアルロン酸を直接的かつ効率良く注入することを実現。
これによって皮膚に潤いと弾力を与え、シワを内側から改善するスキンケア化粧品へ応用する道を開いた。同時に、基材である高分子ヒアルロン酸に各種美容成分を混合することで、さまざまな効果を付与することも可能とした。

同社は、溶解性マイクロニードルの特長を生かして針状美容液パッジ「マイクロニードルバッジ」(写真)を開発・商品化した。
商品化したのは目の周りや口元にハリを与えるバッチ「ショットモードGf3」など、モードシリーズとして3種類の化粧品を開発し、2017年からバラエティショップやオンラインショップ等で販売している。

同社は、半導体やラミネート技術使って生体内溶解性ポリマーの基材に有効成分を混合し、これを微細なニードル形状に成形した溶解性マイクロニードルパッチを開発した。パッチ状に加工することにより肌に直接貼付することを実現するなど今後の化粧品開発に期待が高まる。

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