【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目㉒美白技術(中) ~サンスター、美白成分のナノカプセル化技術開発~

2020.05.26

特集

編集部

サンスター株式会社(大阪府高槻市)は、リノール酸S内包プラスチャージナノカプセルを開発し、薬用美白化粧品の商品開発に拍車をかけている。
リノール酸S は、紅花油を酵素処理し、高度に精製して得られる脂肪酸の一種。
同社が独自に開発した美白有効成分リノール酸Sは、2001年にメラニンの生成を抑制し、シミ、そばかすを防ぐ医薬部外品の有効成分として厚生労働省から認可を受けた。
リノール酸Sは、メラニンを作る酵素であるチロシナーゼの分解を促進することでメラニンの産生を抑制し、シミ、そばかすを防ぐ効果が確認されており、さらに表皮のターンオーバーを促進し、スムーズにメラニンを排出する作用がある。また、光・熱に対し不安定なリノール酸Sをナノトランスファーカプセル(多層のリン脂質膜で出来たナノサイズのカプセル)に内包することで、安定的にじっくりと肌の内部へと届けられることを見出した。

同カプセルは、多層のリン脂質膜でできたプラス帯電した直径100nm~200nmサイズの大きさ。同カプセルに美白有効成分リノール酸Sを内包させてより効率的に肌の内部へ届ける美白成分ナノカプセル化技術。
同社は、2005年に、このナノトランスファーカプセルの技術を更に進化させた「リノール酸S内包プラスチャージナノカプセル」を開発した。
プラスチャージナノカプセルは、表面がプラスに帯電しており、マイナスに帯電している肌の細胞と引き寄せ合うことから、細胞に定着しやすく、カプセルに内包した成分を効率よく細胞に届ける。
プラスチャージナノカプセルは、従来のナノトランスファーカプセルと比較して、カプセルに内包した成分の細胞内への浸透性と滞留性を向上させることを確認。
これを踏まえて同社は、プラスチャージナノカプセルが持つ「内包成分を効率的に肌の内部へ届ける」機能性に着目し、リノール酸S内包プラスチャージナノカプセル開発を進めてきた。

美白有効成分リノール酸Sは、光・熱により酸化・分解されやすい成分であるため、十分な効果を発揮するためには、いかに安定的に肌内部へ届けられるかがカギとなった。
そのため、プラスチャージナノカプセルを構成する成分から一つひとつ見直し、リノール酸Sの安定化に最適な成分を検討した結果、従来のナノトランスファーカプセルより、リノール酸Sが酸化されにくいカプセルの構成を見出した。

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