【連載】この中小化粧品会社に注目⑯グリ―ンサイエンスマテリアル(下)~新タイプの養毛染毛剤開発、販売の実態不明確~

2020.10.9

特集

編集部

グリ―ンサイエンスマテリアルは、2007年の法人化以降、現在までにスイゼンジノリや化粧品原料サクランの製造・販売、化粧品販売の開発等の資金を調達するため、政府の補助金制度を積極的に活用するなど事業化資金の調達活動に取り組んだ。

第一弾の補助金活用は、地元企業のアクアサクラム、喜泉堂等と連携体を組んで「スイゼンジノリを利用した化粧品原料と化粧品の開発・製造・販売」について2010年10月に、農商工連携事業(経済産業省と農林水産省の共管事業)に認定された。
農商工連携事業は、中小商工業者や農林漁業者が有機的に連携して互いの有するノウハウ・技術を活用しながら新商品の開発や販路開拓など6次産業型と地域資源活用の地域資源型、異分野の中小企業・大学が連携して事業化する新連携型の補助制度がある。

この農商工連携を手始めに2013年2月に地元中小企業と連携を組んで新タイプの養毛染毛剤の事業化が農商工連携の新連携型として補助金交付をうけた。
2016年5月には、スイゼンジノリの自社養殖場開設について経済産業省の補助事業「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業」の適用をうけるなど補助金活用による事業化を促進した。
補助金が適用された中で注目されるのが養毛染毛料の事業化。同社は、抗炎症作用や保湿性、被膜形成に優れた物質「サクラン」と頭皮にダメージを与えて皮脂を除去する効果がある「シクロデキストリン酸」を配合した頭皮と毛髪をケアする新タイプの養毛染毛剤(ヘアーカラートリートメント)を開発した。
全国に拡販するため2014年に法人を設立した地元企業と連携して販売に乗り出すため、新連携型補助金の適用を受けて事業化に乗り出した。しかし、連携した販売会社の販売実態が不透明で、はっきりしていない。

販売当初の計画では、40代後半で白髪が気になる約3000万人に上る消費者をターゲットに年間2億円の販売(通販)を見込むとしていた。しかし、ベンチャー企業を含めて中小化粧品企業の多くが販売実態、今後の販売計画等について情報公開を拒む傾向が強い。その意味において同社は、新開発のヘアーカラートリートメントの性能、品質面、安全性、価格、販路など実態活動やどのような課題、問題点を抱えているのかなど情報の公開が弱い。特に、化粧品、毛髪染毛剤などの具体的な販売戦略が見えない。今後、化粧品、養毛染毛剤の具体的戦略が待たれる。

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