【連載】この中小化粧品会社に注目㊼ルバンシュ(上)~成長の象徴、クリーンルームを備えた新本社工場~

2021.03.25

特集

編集部

株式会社ルバンシュ(石川県能美市)は、1990年11月に設立した自然派化粧品メーカー。法人設立して2012年3月で21年が経つ。しかし、「創業して約10年間は、難行苦行の連続だった」(千田和弘社長)と振り返る。

千田社長は、体の中に入っても害のない、安全な化粧品を作りたいという思いから、サラリーマンを辞めて一念発起し、会社を立ち上げた。だが、会社を立ち上げてすぐ自然派化粧品を作ろうとしたが、化粧品を製造するためには、厚生労働省から認可された原料を使用しなければならず、使用できる食品由来の原料もあまりなかった。また、原料の認可を取るためには、膨大なデータ集めと経費がかかるなど次々と難問が押し寄せた。

「よく調べずに化粧品会社を興して無謀なことをした」と思ったものの、すでに工場の建設にかなりの資金を使っていたこともあり、原料の認可に必要な数百万の資金が捻出できないなど悪戦苦闘の日々が続いた。

そうした中、バブル崩壊後に化粧品原料メーカーが天然原料の認可取得に動いたことから、使用できる原料の種類が増えてきた。さらに、同社にとって大きな転機となったのが、2001年に薬事法の改正とともに、使用する原料が審査制度から登録制度に変更され、自己責任で原料を使用できるようになるなど天然由来の商品を拡充することができるようになった。
「20年の歴史の中で前半の10年間は、地をはうような生活だった。後半の10年は、ようやく事業を軌道に乗せることができた」(千田社長)と回顧する。

同社が事業を軌道に乗せる契機になったのがクリーンルームを備えた本社新工場の竣工(2004年9月)といえる。
製造段階で菌が混入しないように原料の仕込みからボトリング(充填工程)までクリーンルームの中(写真)で行っている。化粧品メーカーで部分的にクリーンルームを採用している企業はあるが、製造工程の全て(充填まで)をクリーンルームにしている企業は少ない。また、検査の面では、製品が出荷されるまで菌に汚染されていないか工程検査と製品検査を各段階で厳重に行うなど安全性の担保、・信頼性・品質保証を実現している。

こうしたクリーンルームを備えた工場は、同社の成長を象徴するシンボルとなっており、同社の自然派化粧品の試供品購入などを求めて県内からの工場見学者が後を絶たない。

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