「化粧品原料メーカー、商社の事業展開に迫る」【10】 植物性防腐剤など特許取得&売れる化粧品伝授~サティス製薬(下)

2014.04.25

特集

編集部

化粧機能性を持った植物由来のシリコーン開発に代表されるようにサティス製薬の技術開発力は、特許取得にも表れている。これまで権利化した特許は、植物性防腐剤「ケアプランティ」(商品名)と天然高分子ゲルに関する2件。

「ケアプランティ」は、ベニバナとイザヨイバラの実(写真)の抽出物を組み合わせ、その相乗効果を利用して開発した化粧用防腐剤。石油由来の合成成分で防腐・殺菌成分のパラベン類と比べて遜色のない防腐力を持ち皮膚に対して抗炎症や美肌作用がある。

ベニバナの実の乾燥物      イザヨイバラの実の乾燥物

ベニナバ花乾燥物_サティス製薬イザヨイバラ実乾燥物_サティス製薬

こ うした作用を実現するため、ベニバナエキスとイザヨイバラエキスに1種類以上の溶媒(ブチレングリコールやエタノールなど)を含有させ、最適な組成比率1 対1・5から3対1の範囲に組み合わせた抗菌組成物(特許名)を開発した。その結果、微生物に対する抗菌性が相乗効果により向上することを確認、特許取得 に繋げた。

微生物に対する抗菌性の有効性評価は、抗アレルギー性の測定法ヒアルロニダーゼ阻害活性試験やカイワレ大根での簡易試験などから皮膚に対する抗炎症作用を有し、安全性が高い防腐剤であることを実証している。

天然高分子ゲル(ゼリー状の粘質)は、植物性保湿剤「ローカストビンガム」や増粘安定剤「キサンタンガム」などの天然高分子を複数組み合わせ天然物のみで、合成成分(カルボマーなど)と同等のゲル化力を持つ。粘性水系組成物として特許を取得した。

粘度や皮膜性、透明性、べたつきなどの使用感についての試験は、粘度安定性試験や官能試験で実証。化粧水、乳液、クリームなどのゲル化剤として利用できることに繋げた。

一方、同社は、化粧品通販会社を対象としたセミナー開催(無料)に乗り出した。0EM事業で培った原料、化粧品開発、PR方法などについて年商5億円未満の化粧品通販会社の商品企画担当者などを対象に伝授することで、過当競争の渦中にある通販会社の成長発展に繋げる。

今年1月に開催したセミナーでは「通販で年商10億円以上を売り上げるフロント商品の開発方法」と題し、同社の営業責任者が講師となって化粧品開発や差別化を図った製品のPR方法などを講義した。先行き、日程は決まっていないが継続してセミナーを開催して行く計画。

セミナー開催と合わせて化粧品通販会社へのコンサルティングを強化する。自社開発の自然派原料の活用を提案し、販売増と新規取引先の拡大を狙う。

同 社にとって事業をさらに成長軌道に乗せて行くためには、国際化への対応も不可欠。同社は、2013年5月に台湾工業技術研究院との包括的な技術提携を交わ すとともに同年7月に台湾駐在事務所を開設した。台湾を拠点に技術供与やアジア諸国へ製品を供給して行く計画で、今後の海外ネットワーク強化に向けた取り 組みが注目される。

 

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株式会社サティス製薬

 

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