「化粧品原料メーカー、商社の事業展開に迫る」【1】 経産省、高付加価値を創出する化粧品産業に期待
2014.04.1
編集部
美白問題を契機に化学物質や動物、自然由来をベースとした原料を精製し、他の原料成分と処方して化粧機能性を持たせた化粧品原料の安全性、品質問題が新たに浮上してきた。
これまで化粧品原料の成分配合規定、性状、安全性、品質に関する基準は、薬事法に基づく化粧品原料基準(通称・粧原基)によって運用されてきた。粧原基は、化粧品原料の成分配合規定、性状、品質に関して基準を定めたもの。薬事法改正に伴う粧原基は、原料、化粧品のグローバル化や企業の製造物責任、品質向上を背景に2001年3月に廃止(医薬部外品除く)され現在は、新たに制定された化粧品基準(全成分表示義務)に準拠して運用されている。
しかし、ここへきて原料各社にとってグロ―バル化の進展は、BSE(牛海綿状脳症)問題をはじめ遺伝子組み換え作物(GM0)原料、欧州連合の欧州化学品・ 化学物質規制(REACH)、中国国内で登記登録された独立法人格を持つ業者を在華申請責任業者として選定し、国家食品薬品監督管理局行政受理機構に届出る 必要がある中国での輸入化粧品行政許可申請の厳格化、豚肉やアルコールなどを使わないで製造した証明イスラム認証(ハラ―ル認証)など環境、ホルモン領域での規制が強化されるなど安全性を確保した新たな変貌(イノベーション)に迫られている。また、為替変動による原料価格の値上げとコスト吸収、主力ユーザーの化粧品各社からの安全性要求、自然派原料開発の加速化など原料各社を取り巻く環境は一段と厳しさを増している。
そこで、化粧品原料 メーカーや商社を対象に代表的な原料(製品)をどの様な独自技術、ノウハウを駆使して開発し、化粧機能性を実現したか、安全性、有効性を目的とした具体的 なエビデンスの試験方法、内外での販売動向などについて各社個別の事業展開に迫った。(毎週水曜日付けから各社上、下2回または上、中、下3回の掲載)
経産省、高付加価値を創出する化粧品産業に期待
連 載の巻頭として経産省生物化学産業課谷浩課長補佐に化粧品原料を含む化粧品産業への期待感を聞いた。その中で谷課長補佐は「素材の開発力などに優れており 国際的にも高い評価を得ている。高付加価値を創出する化粧品産業の発展に期待したい」との見解を示した。谷課長補佐の見解要旨は次の通り。
「我 が国の化粧品市場は、少子高齢化に伴い急速に縮小する恐れがあり海外市場の開拓が急務となっています。当省では、成長著しいアセアン市場に我が国の優れた 化粧品を紹介し、日本ブランドを確立するためクール・ジャパンの一環として昨年11月にバンコク、本年1月にジャカルタ、2月にクアラルンプーの3都市で 化粧品紹介イベント「Japan Beauty Week」を開催し、海外での振興に努めているところです。ジャカルタでの開催は、4日間で約2万5千人の来場者があり多くのブログでも紹介されるなど盛 況裡に開催することが出来ました。」
「今年度は、ホーチミン、ヤンゴン、モスクワなどで同様のイベントを開催する予定です。また、我が国 の 化粧品は、高品質、安心・安全であることはもちろんのこと消費者の高い品質要求に応えて「使い心地」や「肌ざわり」といった感性的な充実度の高い製品とし て国内外から高い評価を受けています。また、製剤技術、有効性評価技術、素材の開発力などに優れており高機能な原料の活用によって「美白」や「アンチエイ ジング」または「時短」といった消費者ニーズに応えたよりよい製品の提供が可能となったことが我が国の化粧品に対する高い評価につながっています。今後と も化粧品原料の開発・提案を通じて高付加価値を創出する我が国化粧品産業の発展に期待しています。」