「化粧品原料メーカー、商社の事業展開に迫る」【15】 産業クラスターに参加、0EM顧客取り込む~ホシケミカルズ(上)

2014.05.14

特集

編集部

ホシケミカルズ株式会社(東京都千代田区)は、1975年に原料商社として出発し現在、化粧・健康食品の原料事業とOEM受託事業、容器製造事業を主力に事業展開している。国内外から調達した化粧品・健康食品などの原料取扱数は、約1万4千品目にのぼり原料の品質、検査などを踏まえて最新の原料やトレンドに対応した原料を商社、代理店などに卸販売している。

ここへきてユーザーニーズを反映した独自開発のオンリーワン原料を開発し、他社との差別化を図る動きにある。現在、ナノカプセル技術でカスタマイズ化した成分を含むオリジナル原料を開発中で、実用化すれば2012年に化粧原料メーカーと共同開発したMPCマリンプラセンタに次ぐオリジナル化粧原料となる。

同社の特徴は、化粧品のブランディングに精通したコンサル機能を持った専門部署を開設。化粧品OEMビジネスに力を入れて取り組んでいる点に特異性が見られる。

化粧品OEMメーカーや新規参入化粧品メーカーなどに対して商品の企画開発から商品のラインアップ、販売方法、製造、品質管理、薬事対応などをトータル的にコ―ディネートしてサポートするもの。いわば化粧品開発のソリューション(問題解決)サービス。

こうしたソリューションサービスをより具現化するための戦略として同社は、全国各地で産出される地場産品を利用した新規化粧原料の開発や化粧品の事業化に取り組む産学官連携による地域振興策「産業クラスター」に積極的に参画している。

クラスター創生は、産学官が連携して地域に新産業、新事業を創出した米シリコンバレーのような技術集積地(クラスタ―)を作り、地域の経済振興と活性化に繋げるもの。

政府が旗振り役となって2001年から経産省が産業クラスター計画を文科省が知的クラスター創生事業として進めてきた。現在まで18の産業クラスターと18の知的クラスターが集積地として認定された。国の直接的なクラスター形成に係る補助支援は2009年度で終了しており、現在は各地で研究開発プログラムに沿ったクラスター活動が進められている。

18のクラスター集積地の中で、同社が参画しているクラスターは、青森県全域を対象エリアとした「津軽圏ヘルス&ビューティー産業クラスター」(表)。
修正

同産業クラスターは、文科省の2013年度地域イノベーション戦略支援プログラムの実施地域(補助事業=年間1億円、5年間)に指定された。同産業クラスターには、弘前大と公益財団法人21あおもり産業総合支援センター(総合調整機関)及び同社を含めた県外企業、地元中小企業約100社などの産学官が参画している。

同支援プログラムでは、弘前大学に蓄積されたサケ鼻軟骨由来の機能性素材「プロテオグリカン」(PG=タンパク質と多糖が結合した物質。保湿力と弾性力を有する)の大量精製技術を活用し、新たなPG関連物質など複合糖質(糖鎖)系バイオマテリアルや高機能性食品や化粧品、医薬品などを開発し事業化を加速する。

同社が青森県全域を対象エリアとした同産業クラスターに参画したのは、地域化粧品メーカーや新規化粧品参入企業など対象の化粧品ビジネスセミナーを開催して化粧品の商品企画、マーケティングなど売れる仕組み作りを提供し、顧客を取り込みながら化粧原料の販売やOEM受託ビジネスに弾みをつける狙い。すでに同社は、化粧品OEM事業について青森・水産加工会社と共同で、青森産ナマコから抽出した成分使用の「SEA INE SOAP」と名付けた石鹸を開発した実績がある。

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ホシケミカルズ株式会社

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