化粧品OEM・ODM各社の「ユーザーニーズに対応するわが社の事業展開」【7】 高品質化粧ブラシ作りに冴える技~竹田ブラシ製作所(上)

2014.08.6

特集

編集部

女子サッカー2011なでしこジャパンの国民栄誉賞副賞として化粧筆が一躍脚光を浴びる中で、国内の化粧ブラシ(筆)のパイオニア・有限会社竹田ブラシ製作所(広島県安芸郡熊野町、社長竹田史朗氏=写真)は、匠の技を生かしながら革新的技術開発や毛先を生かした高品質の筆作り、販売チャンネルの拡大などに積極果敢に挑んでいる。

L竹田03-2同社は1947年に創業以来、67年間にわたって化粧ブラシ専業メーカーとして歌舞伎・演劇などの化粧刷毛類からメイクアップブラシ類まで幅広い化粧ブラシを作り続けてきた。

現在は、椿シリーズ、携帯用ブラシ、セットブラシ、洗顔用ブラシなどシリーズ化商品とリス、イタチ、山羊、馬など毛質アイテムに区分してチ-ク、アイシャドウ、フェイス用などの化粧ブラシを「タケダブラシ」(商標登録=写真)のブランドで販売。商品数は、400種類にのぼる。

集合9本いずれも商品化した化粧ブラシは、化粧のまとまりや毛先の力、毛のムラを避けるため、化学繊維は使わず単一に近い毛を使用。原料毛の持つ腰、弾力性、毛先の力、しなやかさが連動して機能する特徴を持つ。

こうした原料毛の質を重視した“竹田流〟の化粧ブラシ作りとは、一言で言えば使い手にとって「思い通りに動く筆」である。

竹田社長は「化粧ブラシ作りで最も重要な要素は、肌に接触するのが毛先であり、粉を伸ばし、定着させるのも毛先である。この毛先の力を最大に生かすことで、思い通りに動く筆、毛先を生かした筆ができ上がる。毛先に力のない化学繊維を使った化粧ブラシの場合、毛と毛の間に化粧品を挟み込むことが難点。化粧ブラシをよじるように押し付けなければ、よほど肌のベースがしっとりしていない限り、肌に粉がのらない」と化粧ブラシ作りの基本を説く。

同社は、原料毛の特徴を生かした化粧ブラシ作りの取り組みとして刃物による毛先のカットをせずに毛先の劣化状態を見ながら時間をかけて取り除く。ブラシの形状を綺麗に見せるため、リンスなどの表面への塗布は全く行っていない。同時に、毛の特徴をより多くのパラメーターを設定して観察し、毛先の力、しなやかさが損なわれない工程を採用。また、ブラシそのものの形状の変化に少し幅を持たせ、口金具や接着などを工夫することで、ブラシの性質の一定化、品質の安定化を図っている。

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「当社のブラシ作りは、ブラシの形状から入るのではなくそれぞれの毛の密集による性質(重心や力点、支点など)を整えることから入る。それが連動して機能するように設計することで、より深く密着した穂先に手の意志が伝わり易いブラシが実現する」(竹田社長)と強調する。

化粧ブラシに使い手の息吹を吹き込み、高品質な伝統工芸の化粧ブラシを生み出す匠の技と緻密に計算された卓越した技法が見える。

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竹田ブラシ製作所

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