化粧品の消費構造変化とグローバル市場【1】化粧品の消費構造が変化、近視眼的発想では事業成り立たず
2014.09.10
編集部
我が国の化粧品を取り巻く環境が大きく変化している。化粧品消費人口の変化や可処分所得の伸び悩みによる購入抑制、自分に合った化粧品選択など構造が変化。化粧品分野に参入している化粧原料、化粧品メーカー、OEM・ODMメーカー、化粧品通販専業メーカーなどが軒並、構造変化の波に飲み込まれている。そうした構造変化の中で、1兆4000億市場を形成する化粧市場をめぐって大小約5000社にのぼる化粧関連企業が市場争奪戦を展開する異常な市場構造にある。すでに国内のパイが縮小する中で、化粧品通販に見られるパイ争奪戦による乱売合戦やM&A、事業の再構築を余儀なくされるなど生き残りを賭けた動きが顕在化し,企業間格差が生じている。かつてのような“化粧品分野に参入すれば儲かる”という安易な近視眼的発想では、事業が成り立たなくなった。
一方、グロ―バル化は、事業の成長・発展に欠かせない。市場原理は、需要の有る市場で事業を展開することで企業利潤を生みだす。経済成長著しい東南アジア市場は、企業の大小を問わず化粧品市場として潜在価値は大きい。海外市場をいかに取り込むか、が企業の成長発展の分水嶺となる。
人口減少と超高齢化社会を主軸にして、これまで化粧品消費の中心を成していた20歳代から30歳代の年齢層に代わって40歳代後半から50歳代の女性人口が約半数を占めるなど逆ピラミット構造が起きている。また、可処分所得の伸び悩みで、月購入単価が平均5000円前後に落ち込んでいることやこれまでの大手企業、商品ブランド志向から自分に合った個の化粧品選択が顕著になるなど消費構造が様変わりの状況にある。
こうした化粧品の構造変化を映して国内の化粧品出荷額(経産省生産生産動態統計による工場出荷額)は、1997年の1兆5189億円をピークに年々、減少傾向を辿り2012年には1000億円減の1兆4千億円前後にまで凋落した(図1)。
経産省統計による2012年化粧品の生産は、前年比-1.4%減と2年連続の低下。出荷は、前年比0.4%増と2年ぶりの上昇となった。出荷が上昇したのは在庫積み増しが要因で実需を反映したものではない。分野別では、皮膚化粧品が約半分の44%を占め、頭髪用化粧品29%、仕上げ用化粧品22%、特殊用化粧品5%、香水、オーデコロン類0.3%となっている。
品目別生産では、シャンプー類が新製品の発売が少なかったことで前年比-8.5%減と5年連続の減少。ファンデーションは、同-5.0%と3年ぶりの減少、化粧水・美容液は、同-0.5%と2年連続の減少となっている。半面、口紅は、多種類の新色を季節ごとに発売したことで同12.6%と2年連続の増加。整髪料も同2.8%と2年ぶりの増加となった。しかし、先行き、消費税の影響などから化粧品出荷額は、さらに減少傾向を辿る公算が強く右肩上がりの上昇に転じることは考えにくい。