連載・異業種から化粧品分野に新規参入した上場各社の化粧品事業に迫る【1】免疫生物研究所、3年間の化粧品関連事業売上3億5千万円目標

2014.11.11

特集

編集部

医薬品開発ベンチャーの免疫生物研究所(ジャスダック上場)は、向こう3年間(中期)で、化粧品の売上を3億5,000万円に持って行く。遺伝子組換えカイコの繭から抽出した自社開発の化粧品原料「ネオシルクヒトコラーゲン」と同原料を成分配合した自社ブランド化粧品「フレヴァン」を両輪にしながら子会社2社を中軸に、化粧品関連企業や一般消費者向けに拡販を図り増収に繋げる。

同社が開発したネオシルクヒトコラーゲンは、ヒトコラーゲンα1鎖遺伝子を組み込んだ遺伝子組換えカイコの繭から抽出・精製したもの。通常、カイコに組み込んだ遺伝子は、カイコの体に残るが繭から抽出したコラーゲンには遺伝子が含まれない。

ネオシルクヒトコラーゲンは、ヒトの体内に存在するⅠ型コラーゲンと同じアミノ酸から構成されているため「アレルギー反応を引き起こす危険性が極めて低い」という。また、ネオシルクヒトコラーゲンをコートした細胞培養皿上で、ヒト皮膚(真皮)由来の線維芽細胞を培養したところ「ヒト線維芽細胞は、ウシⅠ型コラーゲンを用いた場合と同様に、ネオシルクヒトコラーゲンに接着・伸展し、健全な形態を保ちながら増殖する」ことを確認。この結果、ネオシルクヒトコラーゲンⅠは、ヒト皮膚の線維芽細胞にとって馴染み易いタンパク質であることが判明した。

フレヴァンこうした繭から抽出したネオシルクヒトコラーゲンを化粧品の成分開発や基礎化粧品として商品化し「フレヴァン」(写真)のブランドで本格的に販売することにした。現在、原料と化粧品の販売は、2013年10月に企業買収して傘下に収めた子会社㈱エムコスメティックス(連結対象)が化粧品関連企業などに対して原料を販売するとともに化粧品「フレヴァン」をドラッグストア、量販店など法人向けに販売している。また、一般消費者向けの化粧品販売は、2013年11月に設立した子会社「株式会社ネオシルク化粧品」(非連結)が通販主体に販売している。

ここへきて化粧品原料と化粧品の販売体制が整ったことから同社は、化粧品関連事業の売上を今期(2015年3月期)から2017年3月期までの3年間に3億5,000万円(2015年3月期 1,000万円、2016年3月期1億5,000万計画)に持って行く。

同社の動きは、医薬品ベンチャーが化粧品事業を強化する一端を示すものだが、原料や化粧品の訴求力をどのように高めて中期売上目標を達成するか、今後の展開が注目される。

同社は現在、遺伝子組み換えカイコ事業、診断・試薬事業、検査事業の3事業を主力に展開。

免疫生物研究所1

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