【連載】化粧品各社のイノベーション研究【15】ホーユー② ~世界に製販の橋頭保を構築~

2016.03.14

特集

編集部

ホーユーは現在、ビゲンやシエロなどのブランド商品を国内において瀬戸市の2工場を中心に生産。また、海外では、米国、オランダ、中国などに11の現地法人を設立。この内、中国(2001年5月)、タイ(2003年4月)、インドネシア(2004年11月)の3ヵ国に工場を建設して染毛剤を生産。現在、世界70ヵ国以上に染毛剤を販売している。

ホーユー、タイ新工場同社が本格的に海外展開に乗り出したのは、2003年に米国とタイに営業拠点として現地法人を設立したことに始まる。2008年には、米サミー社を買収して傘下に収め、米国での販売を本格化した。また、2010年9月には、タイに染毛剤の新生産工場(写真)を建設(2003年設立の子会社ホーユーコスメティックス・タイランドが運営)し、生産の拠点(ハブ)とするなど海外展開の橋頭保を築いた。

海外展開で、特に注目されるのが米市場における販売。米市場では、現地法人と代理店を介して販売店に卸し、そこから消費者に販売する流通形態を採る。

チャネル販売での主力商品は「ビゲン」と2008年に買収した米サミー社のヘアスタイリング剤などを中心に展開。ここへきて男性用ヘアカラーを市場に投入するなど攻勢をかけている。
同社は、サミー社の米市場での効果について具体的コメントをしていないが、白人向け主体のブランドとして定着し、収益に寄与しているとみられる。

ところで、同社のグローバル化についてのヘッドクオーター(司令部)を担っているのが、国際本部である。
同本部が管掌する主な業務内容は
①海外市場での商品販売
②海外市場での販売促進活動
③海外現地法人の運営・管理
④輸出入業務  など

同社は、すでに海外に製販ネットワーク網を構築し、現在では、世界約70カ国に製品を輸出するなどグローバル企業としての存在感を高めている。しかし、グローバル市場の中で、市場占有率の高いP&Gやロレアル、コティ、ヘンケルなど巨大企業と伍して戦うのは容易でない。

だが、大きな壁が立ちはだかる中で同社は、そう遠くない将来、世界5位の事業規模を誇る染毛剤企業を目標に掲げる。
今後、新たな拠点網を設置して、ビゲンブランドなどの主力商品をいかに拡販していくのか、次のステージを突き動かす国際戦略が注目される。

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