【連載】化粧品各社のイノベーション研究【18】ビタミンC60 バイオリサーチ③ ~フラーレンがカルボニル化抑制、たるみ改善実証~

2016.04.7

特集

編集部

ビタミンC60 バイオリサーチは、フラーレンに“肌の乾燥やくすみの原因となるタンパク質のカルボニル化(酸化の一種)を抑制すること”や“モイストフラーレンを用いた効能・効果試験(臨床試験)で顔のたるみを改善する効果”を実証した。

無題タンパク質のカルボニル化試験は、テープで皮膚表面を剥がす「テープストリップ法」により採取したヒト角層に紫外線(UV-A)を照射した後、活性酸素の一種である「スーパーオキシドアニオンラジカル」を測定した。その結果、フラーレン無添加の場合は、大きくカルボニル化タンパク質が増加。これに対してフラーレンを添加した場合は、紫外線照射後のスーパーオキシドアニオンラジカルの発生量が抑制されたことが判明した(図1参照)。また、タンパク質のカルボニル化の原因の一つと考えられる活性酸素(スーパーオキシドアニオンラジカル)をフラーレンが角層中で消去していることも明らかになった。

これらの試験によってフラーレンは、肌タンパク質のカルボニル化を防ぎ、カルボニル化によって引き起こされる肌の乾燥やくすみにも有用であることが実証された。

一方、化粧品原料「リポソーム化用フラーレン」(モイストフラーレン)を用いた効能・効果試験(臨床試験)で、顔のたるみを改善する効果も実証した。

試験方法は、モイストフラーレン1%配合美容液を顔の半分にのみ朝・晩のスキンケアに追加し、28日間塗布。そのうえで、モイストフラーレン塗布部と無塗布部で、たるみと肌色の変化量を測定し比較した。

たるみの測定方法としては、顔面にシールを貼り、座っている時と寝ている時の各シールの移動距離を測定した。

その結果、目の下と下頬のたるみの評価は、モイストフラーレン(MF)によってたるみが改善し、ひきしめ効果が確認された。図2に目の下と下頬のたるみ量を示す。
無題

肌色評価 についても試験を行い、モイストフラーレン配合美容液を28日間使用後について使用前と比較すると、分光反射率(物体に光があたった時の反射する光の量)があがり、肌の透明度が改善した。
これによりモイストフラーレン配合化粧品を1ヵ月間使用することで、肌のたるみ、透明度が改善。保湿と抗酸化力に優れたモイストフラーレンを化粧品に配合することで、高いエイジングケア効果が期待できることが判明した。

同社は、モイストフラーレンの実証試験について「たるみに効果を発揮する化粧品原料は少なく今後、モイストフラーレンの広がりに大いに期待できる」との見解を示した。

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