【連載】化粧品各社のイノベーション研究【20】ウテナ① ~ヒューマンケア商品を基本に開発推進~

2016.04.11

特集

編集部

株式会社ウテナ(東京都世田谷区)は、1927年4月に創業して以来、2017年4月で創業90周年を迎える老舗化粧品メーカー。花の萼(がく)を意味する社名ウテナは、創業精神の「女性の美を根幹から支える企業でありたい」という思いを込めて命名した。
同社は、化粧品、健康食品、雑貨といった分野にとらわれず、「清潔に」「自分らしく」「自然に身だしなみを整える」ための生活品をヒューマンケア商品と呼ぶ。
ヒューマンケア商品とは
①自分らしく身だしなみを整えるための商品
②身近な生活品
③最大限に喜んでいただくためにつくられる商品など、
5つの条件をコンセプトにして商品開発を推進している。

ウテナ八王子ビル同社の研究開発(R&D)部門である「研究所」は、八王子ビルの中に開設している。
八王子ビル(写真)には、研究所に加えて、品質管理、生産(八王子工場)の3つの機能を集約化した研究開発・製造の一大拠点となっている。子会社ウテナ商事株式会社も同ビルに入居している。

研究所(写真)でのR&Dの取り組みは
無題①約3000種類に及ぶ原料の安全性に関わるデータをデータベース化し安全性を確保
②ベストバランスな処方実現を目指して500回以上の処方開発を推進
③処方決定後の加速試験は、製造後に安定した品質が保てられているかをテストする
④商品の安全性を確保する試験「防腐効果試験」では、商品に菌を投入しその力を検証して100%安全性を目指す
⑤同社独自の感覚試験をパスした検査のスペシャリストが、中身の匂いや色、状態を検査するとともに容器や外装の汚れ、傷の有無を確認する
こうした研究所での処方開発、安全・安心の取り組みは、マーケット部門と密接な連携を図って行われている。

現在、市場投入しているシートマスクやウテナモイスチャーなどの既存商品開発を担当している研究所の研究・技術者と、既存ブランドのマーケティングプラン策定から実行・検証に加えて新製品の企画から開発まで幅広く業務を担当しているマーケティング部門の商品別マーケティング担当者が、密接に連携を図って情報を交換・共有し、ユーザーオリエンテッド型のヒューマンケア商品を開発している。

こうした研究開発の中から、同社を代表する化粧水ブランド「ウテナモイスチャーシリーズ」を1983年に開発して市場投入。
33年を経た現在でも、同社を代表するロングセラー商品となるなど静かなブームを巻き起こしている。

#

↑