【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【2】ランクアップ③ ~社員のワークアンドバランス実現、経営者の人なり反映~
2016.07.13
編集部
全社員(42名)の90%強が女性社員で占めるランクアップは、2005年の会社設立から段階的に働きやすい職場環境づくりや独自の就労制度を導入するなどして、社員の仕事と家庭の両立を図る「ワークアンドバランス」を実現している。
同社がワークアンドバランスを実現するために導入した主な施策は、子育て中の社員を支援する制度として
①連続5日間の有給休暇がとれるリフレッシュ休暇制度
②昼休憩なしの1日6時間勤務で14時半に退社できる時短勤務制度
③子供の病気に伴う5日間の看護有給制度
④病後児保育サービスとして病後シッター費用の会社負担など。
また、社員の育成制度として
①新ビジネスなどの起業を提案してベンチャーを輩出する社内起業制度の導入
②資格試験などの費用を会社が負担する研修費用負担制度がある。
さらに、社員の健康支援として、月2回のヨガ教室の開催や社員のスポーツクラブ助成などがある。
こうした女性社員の働きを支援する中で注目されるのが、全社員を対象とした残業撲滅運動。社員全員が残業せずに17時に退社する。
同社が「残業をしない会社」を実現するために講じた施策は、仕事と家庭の両立を図る「ワークアンドバランス」の実現に向けて、個々の社員が取り組む仕事の見直しを行い、業務の改善による経営の効率化を図ったことが大きい。
業務の効率化を図るため同社は
①作業内容の洗い出しを行って無駄な作業を減らしたり作業方法を変える
②優先順位の低い業務はスケジュールを遅らせたり、効率の悪い仕事を思い切って辞める
③煩雑な事務作業のルーティンワークをシステム化するとともに、煩雑な事務作業をアルバイトや派遣社員に代替し事務職を廃止
④業務のスピードアップを図るため、パワーポイントでの社内資料は禁止
⑤30分以内に会議を終える
⑥部門間で協力するプロジェクトなどの情報共有など
6つの社内ルールを作って周知徹底するなどの具体的な施策を講じた。
こうした社員への支援制度や業務の改善によるノー残業の実現は、事業の手腕、収
益の向上もさることながら、経営者の「人なり、人格に負う」ところが大きい。同時に、業種や事業規模を問わずに、多くの未上場ベンチャー企業にとって見本となり得る成長の軌跡といえる。(ランクアップ成長の軌跡を内容とした岩崎社長の出版本を写真に示す)。
ただし、これから先行きの経営をどのような目標に向けて推進してゆくのか、経営の羅針盤が求められる。