【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【3】ラビプレ① ~産学官連携プロに参加、リンゴエキス・PG配合の地場産化粧品を開発~
2016.07.14
編集部
株式会社ラビプレ(青森県弘前市、社長三浦和英氏、2009年10月設立)は、青森県産のリンゴや新素材「プロテオグリカン」(PG)を化粧品素材として活用した「地場化粧品」開発に力を入れて取り組んでいるベンチャー企業。
法人設立以降、現在までに商品化した化粧品は、リンゴ果実水を天然香料といて添加したシート状化粧水「オータム・レディ・スプレー」とリンゴ果実水に加えて新素材「プロテオグリカン」(複合糖質の一種、PG)を配合して保湿性を高めたクリーム、ローション、フェイシャルソープ、美容液の4品目(写真・ラビプレシューズ化粧品)を商品化した。
商品化に当たってリンゴ果実水を活用したのは、全国屈指の生産量を誇る青森県産りんごの残渣活用。
年間平均約1万4000トンにのぼるリンゴ生産量の内、ジュースとして加工されているのは、約20%。しかし、加工用りんごの残渣(搾りかす)の約70%が有料廃棄されるなどの問題を抱えていた。
このため、地元の試験機関「青森県産業技術センター」は、リンゴ残渣の有効活用に取り組み、りんご残渣に含まれるセラミドなどが化粧品原料として可能性が大きいことを見出した。
同社は、この情報をいち早くキャッチして化粧品開発に採り入れ、リンゴ果実水を天然香料として添加した化粧水開発に繋げた。
一方、新素材のプロテオグリカンは、タンパク質と糖鎖(グリコサミノグリカン)が共有結合した複合糖質の一種。2008年からプロテオグリカンの研究を進めていた弘前大は、プロテオグリカンについてコラーゲンやヒアルロン酸と並ぶ動物の軟骨の主成分で保湿力に優れ、肌荒れ、乾燥肌の改善やコラーゲンの分泌を促進して関節痛などに改善効果があることを見出した。
このため、青森県と弘前大は、新素材・プロテオグリカンを広く産業界に普及させる目的で、同社を含む民間企業約97社が参画して産学官連携による「プロテオグリカンプロジェクト」を発足。文科省補助事業の「地域イノベーション戦略支援プログラム」に採択(2015年度)されて、プロテオグリカンの基盤技術(精製・製造)、応用技術の開発に取り組み、医薬品や化粧品原料として使用できるメドをつけた。
こうした産学官連携のプロテオグリカンプロジェクトに参加して、成果を化粧品開発に採り入れたことが商品開発を後押しした。
同社は、こうしたリンゴ果実エキスと新素材のPGを配合して商品化した化粧品を現在、ネットショッピングを中心に販売するとともに一部、化粧品専門ショップでも取り扱いを始めている。