【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【35】アスコルバイオ研究所① ~新型のビタミンCを開発し美と健康を科学~
2016.12.1
編集部
株式会社アスコルバイオ研究所(岡山県岡山市、社長 山本格氏)は、山本現社長が岡山大学薬学部時代に発見(1989年)したビタミンC誘導体(配糖体・新規安定型ビタミンC)を活用して、化粧品、芳香機能性物質、医薬品等を事業化する目的で設立(2004年9月)した大学発ベンチャー。
現在の事業内容は、ビタミンC誘導体の研究やビタミンC誘導体を活用した栄養補助食品、医薬品、化粧品、芳香機能性物質等に関する応用開発及び商品企画、ならびに一部受託製造業務など。また、スポーツ医学の立場から有用性のある機能性食品の臨床評価を行う目的で、テニスクラブを経営するなど異彩を放つ事業も行っている。
1994年に医薬部外品の有効成分として認められた新成分のビタミンC誘導体「AA-2G」(通称)の特徴は
①安定性が高いことが挙げられる。
通常のビタミンCは、酸素と反応しやすい部分があり、そこに酸素が結合すると簡単に壊れてしまう。これに対し新型のビタミンC誘導体は、バイオの技術でビタミンCの酸素と反応しやすい部分にブドウ糖を結合させたことで、酸素がビタミンCを攻撃できなくなり安定な状態を続けられるようになった。
②安全性が高いことも指摘される。
ビタミンC誘導体が体の中で酵素分解を受けた結果できる物質は、ビタミンCとブドウ糖のみであり、有害な物質は一切発生しない。
③持続性が高いことも特徴。
AA-2Gは、体内に入ると腸に存在する分解酵素によって徐々に分解を受けてビタミンCとして吸収され、長時間にわたってビタミンCが血液中に供給され、無駄なく体に利用されるなど有効性が高い(データ図)。これに対し、通常のビタミンCは、摂取すると急速に吸収され、一時的に血中ビタミンC濃度がある程度高まりその大半が尿として排泄されるため、持続性に欠ける。
このように「AA-2G」は、体内に有害物を作らない理想的な物質と指摘され、高い安定性、安全性が認められていることで、現在、化粧品や食品分野などで有益なビタミンCとして広く利用されている。
AA-2Gの研究で、抗酸化、コラーゲン産生促進、メラニン産生抑制、サイトカイン(特定の細胞に働きかけるたんぱく質の総評)の誘導作用、抗体産生増強や神経突起伸張作用などに加えて、新たにサイトカイン依存性作用のあることも発見されている。