【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【49】アプロサイエンス② ~コメに含有のライスプロテインを化粧品に配合、ファンド出資相次ぐ~

2017.02.8

特集

編集部

バイオベンチャーのアプロサイエンスは、経営の基本方針として「一つの技術や分野にこだわることで、事業を成長できずに倒産してしまうケースがみられる。我々は「自立」を重視し、強みの技術をいかに多くの分野に展開するかを考えて経営を続けてきた」と説く。

同社の中核技術「タンパク質解析技術」を化粧品開発に応用し商品化したのは、まさに強みの技術を生かしたモデルといえよう。

肌のたんぱく質の機能に着目して開発した自社ブランド化粧品「ラジカルサイファーシリーズ」(2007年10月発売)は、現在までに基礎化粧品、ヘアケア・ボディケアなど約40品目を商品化し、市場投入している。
ラジカルサイファーの開発にあたって同社は、「エイジングケアで一番大切なものは何か」を改めて考えることから始めた。その結果、ヒートショックプロテイン(HSP)が肌にとって非常に重要な役割を担っているということに着目した。

HSPは、傷んだ細胞を修復し、元気な細胞に戻す働きを持つタンパク質のこと。こうした「作用があれば肌のハリはもちろん、キメや保湿など肌トラブルを解決できるのではないか」と考え、あらゆる天然原料の中からHSPタンパク質が含まれているかどうか、タンパク質解析技術を使って調べあげた。その結果、米に含まれるライスプロテインを発見し、これを使ったラジカルサイファーの開発に繋げた。

この化粧品の開発と同時に徳島の農家と連携して、漢方生薬エキスを活用した「漢方米」を開発している。また、直近の化粧品開発としてメイク落としを開発し、市場投入した。

一方、たんぱく質の単離から1次構造解析までの一貫した研究受託と微量たんぱく質解析の技術開発に力を注ぎ、そのための資金調達を活発に進めた。

最近の研究開発等に関わる資金調達として、2012年度は「かがわ中小企業応援ファンド事業」(新分野等チャレンジ支援事業)の採択を受けるとともに、2013年度も「かがわ中小企業応援ファンド事業」(地域企業国内販路開拓支援事業、県外見本市出展支援)採択されるなど、2年連続でファンドの適用を受けた。さらに、2015年度「かがわ中小企業応援ファンド事業」(成長のエンジンとなる分野支援事業)に採択されるなど投資機関中心に株式公開への期待が一段と高まっている。

現在、たんぱく質解析事業と化粧品などのヘルスケア事業の2事業を収益の柱として事業を展開するバイオベンチャーの今後の成長・発展が注視される。

 

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