【連載】RVH、美容王国にのし上がる脱毛エステ・ミュゼプレミアムを買収①

2017.03.8

特集

編集部

電子機器業の株式会社RVH(東京都港区、東証2部上場)は、ジンコーポレーションの子会社で脱毛サロン事業を展開する「ミュゼプレミアム」とエステサロンを展開する不二ビューティを株式分割で買収し子会社化した。このM&AでRVHの美容事業は、今期(2017年3月期)で売上300億円の大台に乗せる見込みで、国内有数の美容王国にのし上がるのは必至となった。

同社は、1996年7月に3次元グラフィックス向けLSIの開発・販売等を目的とした「株式会社リアルビジョン」を設立したのが始まり。2000年12月には、東証マザーズに上場。2012年から組込み機器及びソフトの開発会社を買収したのを皮切りに現在まで9社を企業買収し、システム開発事業やメディア・コンサルティング事業(弁護士など士業向け広告代理業)、美容の3事業を主力に事業を展開している。

この中で電子機器とは似ても似つかない美容事業進出の足掛かりとなったのが、2015年12月にジンコーポレーションの事業、資金の両面にわたるスポンサー支援の実施に係る基本合意書を締結したのが始まり。
RVHは、同合意書に基づきジンコーポレーションの事業価値を維持することについて検討し、協議を進めた。
その結果
①同社の美容脱毛事業「ミュゼプレミアム」を再建することは、同社の会員約299万人(2016年12月現在)への影響を最小限に留めるとともに従業員約4000名の雇用を守る極めて社会的意義の高い取り組みであること
②同社の有する顧客数、全国の店舗ネットワーク及びブランド価値などの事業価値は高く評価できる
③過剰なコスト体質の下で一時的に経営基盤が揺らいだが、半年間に渡りコスト構造の見直しを実施した。その結果、直近の単月営業成績は、役務消化ベースで10月売上22億1000万円、営業利益1億600万円、11月売上22億1300百万円、営業利益3億800万円と、今後の事業継続性に関して特段問題がないことが判明
④RVHグループとのシナジー効果により更なるコスト改善を徹底することで、事業価値の維持、向上が可能であるなどと判断してスポンサー支援の実施について最終合意書を締結した。
スポンサー支援の具体的内容は
①ジンコーポレーションの営む美容脱毛事業を同社の子会社である株式会社ミュゼプラチナムへ譲渡する
②RVHを完全親会社、ミュゼプラチナムを完全子会社とする簡易株式交換を実施する
③ミュゼプラチナムは、RVHグループ傘下においてジンコーポレーションにより推進されていた美容脱毛事業に係る顧客契約に基づく未消化役務をジンコーポレーションとの受託契約により実施する
④2016年12月11日以降に発生する美容脱毛案件については、ミュゼプラチナムが契約主体となって施術を実施する
⑤ミュゼプラチナムの事業運営にあたっては、RVH子会社である株式会社リーガルビジョンを経由した広告発注を行うことで、広告代理店への支払サイトを延伸させるとともに、子会社の株式会社スカイリンクと株式会社ソアーシステムのウエブ開発・システム開発技術を活用し、予約システムの再構築、ウエブサービスの拡充等による効果的なマーケティング戦略を策定することで、集客力の向上、コスト削減に注力する
⑥現状において脱毛サロン事業における顧客会員の当日キャンセル率は15%程度。このキャンセル率を低減させる施策として従前の施術と比較して約1.5倍の速度で施術が可能な高速美容脱毛器を導入し、役務提供の効率化を図る
⑦186店舗、約299万人の女性会員基盤を活用したメディア事業、EC事業等の周辺領域についても事業展開を進めることにより、更なる売上拡大を目指す。株式取得価額は、約16億円にのぼる見込み。

このようなスポンサー支援の実施に係る基本合意書を踏まえて2015年12月にRVHを株式交換親会社、ミュゼプラチナムを株式交換子会社とする株式交換契約を行い、ミュゼプラチナムを傘下(子会社化)に収めた。
現在の会員数299万人、186の店舗と4千人の従業員は、子会社ミュゼプラチナムに移籍している。

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