【連載】医薬・創薬企業の化粧品事業⑧新日製薬 ~生薬配合の化粧品20品目市場投入、株式公開の準備開始~

2017.06.26

特集

編集部

新日本製薬株式会社(福岡県福岡市)は、1992年に法人化して2年後の1994年に健康食品の通信販売、2000年に基礎化粧品の通信販売を開始。2003年には医薬品分野に参入するなど、健康食品、化粧品、医薬品の3事業を中心に事業展開している。特に、薬用植物研究所で自家栽培した生薬・漢方等を配合した化粧品やOTC医薬品を開発して市場投入するなど、生薬の自家栽培の成果を活かした商品開発で、他社との違いを打ち出している点に特徴がみられる。

生薬・漢方等の自家栽培は、2006年に薬用植物研究所(山口県宇部市、敷地約1万2000平方メートル)を開設して、医薬品や化粧品の原料として使用されている「甘草(カンゾウ)」や「ムラサキ(紫根、シコン)」など約20種類の薬用植物の自家栽培に取り組む。自家栽培している品種を識別する遺伝子解析の研究にも取り組んでいる。また、甘草の安定生産・安定供給を図るため、新潟県胎内市や熊本県合志市、青森県新郷村など5自治体と連携して栽培に取り組む一方、ミヤンマーでも甘草の栽培を始めている。

こうした自家栽培の生薬・漢方を配合した一般用医薬品(OTC)として、甘草、シャクヤクなどの生薬を配合したこむらがえりなどの筋肉の痙攣や緊張を緩和させて痛みを鎮める「芍薬甘草湯エキス細粒SH」(第2類医薬品、2015年3月販売)や整腸剤「アクティビオ」、生薬製剤「コクイン錠」などを商品化した。現在、OTC医薬品9品目を市場に投入し、通販とEC(電子商取引)サイトおよびドラッグスト等への卸販売を行っている。

化粧品の販売は、2015年に自社栽培の紫根から抽出した紫根エキス配合の「薬用SPホワイトニングコセントレート」や「薬用SPホワイトニングコンシーラー」を開発。同年4月には「SPモイスチャーUV」などを実用化し、現在まで代表的商品の「パーフェクトワン」(写真)など21品目を開発し市場に投入している。
化粧品の販売は現在、通販、ECサイトに加えて、百貨店にテナント入居してカウンセリングを主体に対面販売を行う直営店舗「パーフェクトワン」(店舗数9店舗)での販売やドラッグストア、バラエティショップ、大型ショッピングセンター等への卸販売している。

化粧品の販売は、これまで通信販売を中心とした販売展開から直営店や卸販売などに販売チャネルを拡大し、現在、取引先は約400件を超えている状況。さらに、海外を視野に入れた事業を推し進め、カンボジアで日焼け止めや化粧水などの販売を始めている。

同社は、株式上場に向けた準備を進めている。業績は、2016年3月期で売上高236億1600万円。従業員数652名(派遣社員含む。2016年4月現在)。上場時期や株式公開市場については、非公開。

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