産学官連携による化粧品等の共同開発成果産学官連携による化粧品等の共同開発成果 ~デンソーなど共同開発化粧品の本格販売見えず~(下)

2017.12.7

特集

編集部

自動車部品の大手株式会社デンソー(愛知県刈谷市)と筑波大学は、藻から抽出したオイルを含むハンドクリーム「モイーナ」を開発し、デンソーが2014年11月からネット販売を始めている。また、ハンドクリームに続く第二弾として、藻の保湿オイルを活用した日焼け止めクリーム「モイーナ・UV」を2017年6月1日から販売を始めた。
一方、カニの甲羅からキチンをナノファイバーとして取り出すことに成功した鳥取大学は、アサヒフードアンドヘルスケア株式会社(現、アサヒグループ食品株式会社、東京都渋谷区)との共同研究で開発した自然由来の保湿成分「ナノベール」を配合した化粧品「素肌しずく・うるおいミルク」(写真)を2015年9月から全国販売に乗り出している。

筑波大学とデンソーは、2008年より7年に渡る共同研究で、オイル産生藻類「ボトリオコッカスBOT-22」の室内安定培養技術を確立。この技術により産生されたオイル「ボトリオコッセン」には、優れた皮膚保湿性を有し、ヒト肌での保湿性能試験の結果、高級保湿剤スクワランと同等以上であることを実証した。
そこでデンソーは、このオイル産生藻から抽出したエキス配合オイルを利用したハンドクリーム「モイーナ」を開発、2014年11月に市場投入した。以降、同製品が好評を得たことから、新たに日焼け止めクリーム「モイーナ・UV」を開発、2017年6月より販売を始めた。2製品は、通販専用サイトで販売している。また、オイルの変性技術については、筑波大学、デンソー、株式会社豊田中央研究所(愛知県長久手市)の3社でそれぞれ特許を出願中。

ところでデンソーは「化粧品販売についての実態や基本的な事業方針、ビジネスの深度や器量などのビヘイビアについて」一切、コメントしていない。自動車部品事業に経営を集中する姿勢に変わりがないことを暗示している。

カニ殻からキチンをナノファイバーとして取り出すことに成功した鳥取大学は、アサヒフードアンドヘルスケアとの共同研究で開発した自然由来の保湿成分「ナノベール」を配合した化粧品「素肌しずく・うるおいミルク」を商品化した。
一方、鳥取大学の特許技術によりカニなどの甲殻類の外皮から製造された極細(10~20ナノメートル)のキチンナノファイバーは、従来のキチン粉末では出来なかった水中での均一な分散性を実現し、他の材料との配合・成形が容易になった。
このキチンナノファイバーを採用して鳥取大学とアサヒフードアンドヘルスケアは「素肌しずく・うるおいミルク」を商品化し2015年9月にネット通販に乗り出した。
同ミルクは、乾燥性敏感肌の人に向けた1品3役(化粧水・乳液・美容液)の多機能オールインワンミルクで、顔から全身までケアができる。

キチンナノファイバーの研究は、2013年から2015年の2年間、文部科学省の大学発新産業創出プログラムの採択を受けて鳥取大が研究を行い、一定の事業化のめどをつけたことから2016年4月に鳥取大学教授2名が中心となって、事業運営会社の株式会社マリンナノファイバー(鳥取県鳥取市)を設立して事業を承継した。

#

↑