老化により皮膚に肥満細胞が蓄積
2018.10.17
国際部
加齢による皮膚の変化と関連する肥満細胞の蓄積を確認した研究結果が10月6日、「British Journal of Dermatology」オンラインに掲載された。
皮膚の健康状態は加齢に伴い低下するが、これは部分的に免疫老化に起因する。このため、免疫に関わる肥満細胞(MC)の加齢による変化とその他の免疫細胞および皮膚構造と肥満細胞の関連を検討した。
若年者(30歳以下)および高齢者(75歳以上)の光保護された皮膚検体を対象に、免疫染色および空間形態計測を実施。MC表現型や血管および神経線維との相互作用における変化を特定した。また、定量的PCRにより、免疫細胞活性および神経ペプチドシグナル伝達に関連する遺伝子発現の変化を特定した。
その結果、皮膚のMC、マクロファージ、CD8+ T細胞の数は若年皮膚に比べて老化皮膚でそれぞれ40%、44%、90%多かったが、CD4+ T細胞および好中球では同等だった。老化皮膚ではMCは真皮乳頭層により多く見られ、MCの脱顆粒発生率が低く、トリプターゼ/キマーゼの保存表現型およびグランザイムBの共発現が認められた。老化皮膚では、MCでマクロファージおよび神経線維との関連が強くなり、一方で、血管との相互作用は弱くなった。血管作動性腸管ペプチドおよびサブスタンスP、遺伝子発現の年齢に伴う調節が確認された。これはVIP陽性神経線維の発生頻度増加と関連し、MCとの強い関連を示した。