肥満治療に有望な新しいホルモン注射療法
2019.08.19
国際部
新しいホルモン注射慮法が、4週間で糖尿病と肥満の患者の体重と血糖値を下げることに成功したという研究結果が8月6日、英Imperial College Londonからプレスリリースされた。
同大学の以前の研究結果から、一般的な肥満手術である胃バイパス手術の成功の理由のひとつに、腸に由来する3つのホルモン(グルカゴン様ペプチド-1、オキシントモジュリン、およびペプチドYY)がより高いレベルで放出されることがあると考えられていた。それぞれの頭文字から「GOP」と呼ばれるこのホルモンの組み合わせは、食欲を減らし、体重を減少させ、食事から吸収された糖を使用する身体の代謝を向上させる効果がある。今回の研究は、糖尿病または糖尿病前症の26人の肥満患者を対象に、「GOP」を直接注射することによって、同様の効果が得られるかを検討した。対象者はGOPグループとプラセボ(生理食塩水)グループの2群に分けられ、4週間の試験が実施された。試験期間中は全対象者が食事に関する栄養士からのアドバイスを受けた。さらに、肥満手術を受けた患者21人と低カロリー療法を行った患者22人を募集し、GOPホルモン注射の効果を比較した。
その結果、4週間の試験ではGOPグループで平均4.4kg、プラセボグループで平均2.5kgの減量効果が確認された。どちらのグループにも有害事象は見られなかった。しかし、肥満手術を受けた患者では10.3kg、低カロリー療法の患者では8.3kgと、GOPグループより大きな減量効果があった。