〇解説記事③マイクロプラスチックに揺れる化粧容器 ~回収困難な海中を漂うマイクロビーズ~(Ⅱ)

2019.09.7

特集

編集部

マイクロチップ、マイクロビーズ問題は、プラスチック、ガラス、金属製等の化粧容器に風当たりが強くなっている。
現在の化粧容器は、化粧水や乳液など液体に使われる細口ボトル、クリームやペースト状の中身に使われる広口ボトルやチューブ、マスカラに使われる塗布具付き容器、粉おしろいなどの粉体の中身に使われるパウダー容器、ファンデーション用コンパクト容器、口紅用繰り出し容器、ペンシル容器、ポンプ容器、エアゾール容器などさまざまな種類がある。材質も金属、ガラス、プラスチック(ポリプロピレン製樹脂)、紙など多様で、中身の特性や使いやすさを考え合わせてそれらをうまく組み合わせて使っている。

化粧品の容器には①中身の保護②使いやすさ③デザイン性など主に3つの機能がある。

①中身の保護は、化粧品が使い終わるまで中身の品質が保たれていることが求められる。化粧品の成分の中には光(可視光線や紫外線)によって劣化しやすいものがある。光から中身を守ることは容器の大切な役割の一つ。光で劣化する成分が光に当らないように不透明な容器が用いられる場合がある。
この場合、透明ではないため、中身の減り具合が分かりにくいこともある。また、空気中の酸素や水分の透過が原因で中身が変質・変臭することもあるため、酸素などが透過しないようにアルミニウムの層を入れる場合もある。チューブ容器などは、一度出した中身が容器に逆流しないような仕組みを用いて容器内の化粧品が空気に触れないように作られているものもある。

②の使いやすさは、開けやすさ、持ちやすさなどの人間工学的機能。それぞれの化粧品を使用するときや保管するときを考えて容器の形、大きさ、重さ、硬さなどを決めている。
例えば、蓋は開けやすく、勝手に開かないように調整。ボトルは、手に持ちやすく、落としにくい形に工夫されている。また、メイク用の化粧品は、携帯するときのことも考慮されている。中身を使いやすくする工夫としては、内容物を簡単に、かつ適量出せるようになっているポンプ容器やメイク用化粧品では、唇やまつげなど特定のポイントを美しく仕上げる繰り出しタイプの口紅やブラシと一体化したマスカラ容器などがある。

③のデザイン性の高い化粧品容器は、ファッション性に優れ、製品のもつ魅力を引き立たせる。

この3つの基本機能以外に、廃棄する場合を考慮した材質選定や詰め替え容器の開発など、環境保護や経済性などの社会性も加味して容器を開発している。

1995年に施行された製品物責任法(PL法)では、容器に関しても.設計上や.製造上、表示上等の欠陥があってはならないとされており化粧品を製造するときは、試作品の使用テストをさまざまな状況で行い、安心して使える製品を世に出している。
こうした安全で品質の確かな化粧容器であっても海中を漂うプラスチック製のマイクロビーズ(写真)は、ひとたび海洋投棄されると回収する術がない。環境汚染という負の連鎖から脱出することは困難だ。

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