ワイン醸造廃棄物の抗酸化フェノール化合物は日焼け止めに有用
2019.11.14
国際部
ワイン醸造廃棄物から抽出された抗酸化フェノール化合物を日焼け止めに添加した時の効果を検討した結果が11月7日、「Antioxidants」オンラインに掲載された。
ワイン製造後の果皮と種子であるぶどうの搾りかすには高い濃度のポリフェノールが含まれている。この高価値の産業廃棄物はサスティナブルの観点からも注目されている。抗酸化フェノール化合物は光保護効果を持つという強力なエビデンスが示されており、UV保護を強化するために、ワイン製造廃棄物から日焼け止め製品に高野活性化合物を適用することは合理的であると考えられた。
そこで、ワインの原料として使われるヨーロッパブドウ(Vitis vinifera L.)のハイドロエタノール抽出物を用いて6種の製剤を開発した。タイプIは化粧品基材およびUVフィルター。タイプIIは化粧品基材とエキス。タイプIIIは化粧品基材、エキス、UVフィルター。さらにタイプIからIIIまでの製剤それぞれをpH 5、pH7で調製した。
その結果、タイプIIIのpH 5調整剤による光保護効果と光安定性は、活性分子間の相乗効果によりSPFを81%増加させることを示唆した。またこの製剤のみが、UV照射後に広範囲の保護を維持した。これらの結果は、ブドウ搾りかす抽出物が、主に日焼け止めに使用できる多機能性を有し、優れた性能を付与することが確認できた。