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お肌の老化に関わる「グリカン」とは

米国皮膚科学会( American Academy of Dermatology)は8月7日、皮膚の老化は細胞表面の糖「グリカン」によるのではないかという新しい説を同学会サイトで紹介した。

グリカンはDNAやたんぱく質に続く「第3の生物学的コード」と言われている。細胞間の相互作用や情報伝達に関わるとされ、たんぱく質の合成に関わっている。このグリカンは、60歳では30歳時の50%に減少、残るグリカンもその機能が低下しているということが、最近の研究で明らかになっている。

米デューク大学医学部のZoe Draelos氏によると「グリカンクリームを塗布することで老化した皮膚に糖を補えば、若い皮膚のような細胞同士の認識やコミュニケーションが回復し、コラーゲン産生が増加して熱傷や創傷などからの修復も容易になる」という。

今のところ、グリカンクリームが皮膚細胞を若返らせたとする研究報告はなく、研究ははじまったばかりだ。グリカンの機能を活用して、癌や感染症の予防と治療における今後の研究も期待されている。

抗加齢スキンケアクリームには、抗酸化薬としてのビタミンA、C、E、またセレニウムなどの微量栄養素、コラーゲン産生に必要な銅が含まれている。Draelos氏は「微量栄養素の外用は、食品からの摂取よりも効果が薄い可能性がある。皮膚の老化を防ぐ最良の方法は日光への曝露を減らすこと」と述べている。

グルカンを含む市販の化粧品では、細胞内の糖質の情報伝達を応用したイブ・サンローランのアンチエイジングライン「フォーエバー」が有名。製品に「グリカンアクティブ」を配合し、グリカンの生成と代謝を促進、皮膚構造の改善を目指すものという。

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橋本奈保子

顧問記者(国際情報、薬事・医療ニュース)

名古屋大学大学院、英国Durham University, Graduate School 卒。編集者、ライターを経てフリージャーナリストとして独立。専門分野は、医学・化学関連。また、同分野を中心に翻訳、ウェブコンテンツ・ディレクターとしても活躍中。 本誌では主に、米国欧州を中心に先端美容医療、化学、米FDAなどの情報を担当。

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