中小企業が取り組む化粧品の新規事業【2】大見海事・ヒバ開発が協働、青森ヒバとリンゴ融合の化粧品開発へ
2015.02.6
編集部
青森・大間町で土木建設業を営む大見海事工業(青森県大間町、昭和1966年創業)は、青森ヒバ(木材)を水蒸気蒸留して得られる精油の有効活用を図った化粧品の新規事業に乗り出している。同社の化粧品事業は、グループ会社のヒバ開発を設立(1988年6月)して有効成分やスキンケア化粧品を開発する一方、大見海事工業が化粧品の販売、マーケティングを担当する両社のコラボレーション事業。化粧品事業の取り組みは、本業の建設土木が官公需の激減で、先行き成長が望めないことから事業の転換を図ることで、新たな成長を目指す狙い。
協業化による化粧品事業は、青森ヒバの研究が盛んに行われていた青森県工業総合研究センターの指導を受けながら1988年、健康安眠枕「ヒバ眠」を開発したのを契機にヒバ開発を設立した。その後、オガ粉をパックした天然芳香剤「ヒバの森」を開発。1998年には、青森県初となる化粧品工場建設に踏み切った。
こうした中、ヒバ油に含まれ殺菌、抗菌、消炎作用などがある「ヒノキチオール」がアトピーに効果があるという報告が表面化したことから、2001年に同研究センターと共同でヒノキチオールの安定化製剤を作製し、基礎化粧品として初めて「ヒバクリーム」(商品名)を開発・実用化した。
以降、内容成分をヒバ水ベースに変更し合わせてパッケージのデザインを改良するなどして次々と商品化を図りスキンケア、ヘアケア、ボディケアをシリーズ化した「ヒバの森シリーズ」(写真)と同じ商品でありながら高品質で価格を高めに設定した「ヒバの森+」(プラス)を商品化。現在、2ブランド合わせた品目数は20~30品目にのぼる。
しかし、販路は徐々に広がってきたとはいえ、現在「ヒバの森シリーズ」と「ヒバの森+」の販売は、県内の土産店や道の駅、県内の百貨店、催事販売、オンラインショップなどが中心。ヒバ開発では「徐々に販売チャネルが広がってきたものの県内販売が中心で、知名度は今一歩の状況にある」という。
このため、今年から関東圏での催事出店に力を入れるなどしてさらに、需要を掘り起こすとともに、化粧品の訴求力向上による認知度を高めていく考え。
ここへきて新たな化粧品開発にも意欲的に取り組んでいる。青森ヒバから生まれたスキンケア化粧品にリンゴから抽出した香料をミックスした新たなスキンケア化粧品開発に入っている。
青森ヒバに含まれるヒノキチオールは、香りについて個人差が大きいことからリンゴ香料を配合して香りを整え購入しやすくし、来年度中にも商品化する方針。
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